https://jura03.hatenadiary.jp/entry/2019/06/29/121203

 

環境大臣の発言が取りざたされている。売れっ子の政治家だけに注目されているわけだけれども、ここではその評価云々についてはひとまず置く。

 

私が非常に気になるのは、日本人の気候変動問題におけるあまりにもあまりな問題意識の低さだ。

 

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たとえば、国連に出てきたために日本でもようやく名が知れたグレタ・トゥーンベリだが、そもそもなんで今頃になって日本のTwitterでもがやがや言われる程度に名前が知れたのか、私には全く理解ができない。

 

グレタの日本語のWikipediaを見ると書いてなかったので驚いたのだが、彼女はアスペルガー症候群である、というのが重要な要素になっている。芝居がかっている云々というのは全くの的外れで、アスペルガーの子が一人でストライキを始めたところ、1年でああなってしまったところに意味があるものと考えないといけない。

 

背景に大人の事情はいろいろあるのだろうが、少なくとも欧州では気候の変動が深刻にとらえられており、彼女の言いたいことそのものに異を唱える者は皆無なのではないか。たとえば、彼女の食べ物がプラスチック包装されていたりするのをとがめられたり、あるいはあの調子で説教するのをからかわれたり、というのは見るけれども、それ以上の批判はあまり見ないように思う。その程度に欧州人は深刻に問題を考えており、彼らの反応を「ヒステリック」と一言で片づけることは不可能だ。

 

氷河が溶け続けていると日々宣伝されている欧州と日本が違うことは何もなく、日本にいても太陽光線がそもそも過去と違ってしまっており、単に「今年は暑い」で済ますことができるとは到底思われない。台風の大型化や狂暴化も、気候変動の問題と無関係であるわけがない。

 

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もちろん、日本が地球環境問題に全く無関心であったわけではなかった。技術開発などの一般的には地味な問題にも取り組まれている。原発の必要性を声高に言いにくい状況の中(少なくとも目先は原発が必要なのは理の当然だ)、石炭火力まで批判されるとやりきれなくなるのももっともだ。(たまたま、今年あるところの石炭火力の石炭の消費量を聞いて仰天したものだが、だから原発を使えばいいじゃないかとあらためて思ったものだ)

 

しかし、売れっ子の政治家が環境大臣に就任して、上滑りなことを言うと(この問題で具体的かつ実行力のあることを言うのは非常に難しいと思うが)、大っぴらに話題になり、その影響でグレタの話もネタに上がる、程度に、気候変動問題に関する認識が薄い、そのほうがはるかに問題ではないか。

 

地球環境問題に注目させたので、売れっ子の新大臣でよかった、という話にはしない。こういう議論の仕方がだいたいろくなものにならないのは経験の教えるところであり、私が言いたいのはそういうことではない。

 

気候変動についてどこまでも他人事感が漂う日本人の認識を、私は問いたい。