扇動のための不当表示としての「リフレ派」 part20

そういえばと思いだして、英国在住らしいabz2010さんのこんな記事がありましたね。
米国の「景気回復」と失業率の推移について - カンタンな答 - 難しい問題には常に簡単な、しかし間違った答が存在する
米国のFood Stamp受給者数のグラフを紹介しておられるけれど、これがずっと増え続けているようですね。バーナンキがあれだけ頑張っても。


と、これを見ただけでも、高橋洋一の「デフレ解消すれば生活保護が」という話が、まさに「桶屋理論の極み」と言うしかない駄法螺であって、少なくともそんな簡単な話であるわけがないということは非常に明確であるはずです。


あと最近読んだので気になったのがこれ。
http://econdays.net/?p=6634
別にノーベル賞受賞した経済学者に喧嘩を売るつもりはないんだけど、グラフの使い方がいかがなものかと思うのは最後の英国の物価上昇率のグラフで、2011年10月11月あたりから下がってて、

それと、イギリスのインフレについてくどくど言ってるすべての人へ:イギリス国立統計局(ONS)のデータにはてこずってるんだけど、これは最新の報告書から:

インフレ論者たち、また間違えたね。

と締めていて、全体としても毎度のクルーグマン節で言いたいことはよく分かるんだけど、ただこの点については別の背景があるという意見もありますよ。というわけで、同じくabz2010さんのブログの別の記事から引っ張ってきますが、
英国中央銀行は真面目にインフレ予測をしてるのだろうか? - カンタンな答 - 難しい問題には常に簡単な、しかし間違った答が存在する
英国の物価上昇率のグラフを出して、

(尚、インフレ率(CPI)の変化のうち2010年Q1の上昇と2012年Q1の下落は主にVAT変更の影響によるもの)

とかっこで念を押しておられます。またさらに、

では今後のインフレ率はどのような推移をたどるだろうか?

昨年1月のVATの引き上げの影響が足元のインフレ率の評価期間から外れたことによってインフレ率は3%代まで落ちてきており、また春から夏にかけては昨年の相次ぐ電気・ガス・交通料金の値上げ分もインフレ率の評価期間から外れる為、インフレ率が下落していく可能性は十分にある。 

としていて、クルーグマンが「ドヤ顔」できるほどのものなのか。


さらにさらに、Twitterを見ているとインフレになれば所得が上がる、みたいな話が一般的なイメージで広がっているようだけれども、英国の実態を見ると、

しかしながら、英国民にとってより本質的な問題はインフレ率が仮に2%へと回帰していったとしても、国民の生活を覆う「物価高」感がそれで払拭されるわけでは全くないということだろう。 過去2年にわたる高インフレ率の時期に所得の上昇率を超えて高くなった物価は今後も幾分ペースを落としながらも上昇を続ける。一方で所得がそのインフレ率を超えて上昇するような局面がすぐに来るとは思われない。 もしそういった局面がくればインフレ率は上昇する方向へと圧力がかかると考えられるからである。 


過去2年間、インフレ率が高いながらも安定していたのは物価が上がる一方で所得は上がらずインフレ・スパイラルが進まなかったことが要因の一つとなっている。 これは英国経済を旧来型のスタグフレーションに落ち込むことを防いだかもしれないが、その背景となった高失業率、組合の弱体化等の要素は今後も引き続き所得の上昇を抑制し続ける可能性が高い。

ということで、インフレになればなんとかなる、と口でいうほど簡単な話ではなさそうだと、英国の事例からは素人目にはそう見えます。


「いや、英国はキャメロンが緊縮財政をしていて」


というのであれば、もうこれは財政の問題ではっきり、政府・政治家の問題でしょう?


ところが、リフレ派ってひたすら中央銀行が悪いんだという議論しかしないわけで、政治の責任については全くと言っていいほど問わない。政治・政治家の責任を問うとすれば「日銀法改正しろ」みたいな形でしかないんじゃないか。その点、反緊縮でもっと財政をだせというクルーグマンの言い分はそれなりに筋が通ってて分かるんだけど、日本のネットで吠えてるリフレ派って、たとえ財政政策に対する見解に内部で幅があるとしても、金融政策のことばっかりだ。本当に変。


デフレは確かによいとは言えない、インフレのほうがいいだろう。でも、インフレになれば何かとバラ色かというとそういうわけでもなさそうだというのは、もっと正直に語ったほうがいいと思うんですよ。


率直に語るんじゃなくて、ひたすら日銀を叩くように煽ってデフレ脱却だ財務省の陰謀だだの言ってる連中の、、、まあ、やめにしよう。あの人たちがいい加減なのは、もう明明白白なんだから。