扇動のための不当表示としての「リフレ派」 part13

素人目から見て、「中央銀行の独立性」の話で、「中央銀行の目的は政治家が決める」という時、その「目的」って目標物価上昇率の具体的な数字を政治が設定しろってことじゃ必ずしもないんでしょう?と思うわけで。


たまたま日本版Wikipediaの「インフレターゲット」に記載されている図を見たら、目標物価上昇率の設定主体が政府なのはブラジル・イスラエルノルウェー・イギリスで、あとは政府と中央銀行か、中央銀行単独か。


米国とユーロと日本は中央銀行が設定主体になってる。
インフレターゲット - Wikipedia


政治サイドは、日本の場合だったら日本銀行法で目的を規定しているので、「中央銀行の目的は政治家が決め」てる。今でも。


ところが、そこをわざと混乱させて、目標物価上昇率を政治サイドが決めるのが当たり前だと簡単に言っちゃおうとする空気がどうもあるね。ひどいよ。(そういえば、橋下徹Twitterでそんなことを言ってたけど、知恵付けたの高橋洋一なんだろうな)

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こないだのバーナンキの記者会見を聞いていて、面白くはあっても他方で大変だなぁと思ったんだけど、物価上昇率2%を下回って手を打たないでいることがダメなんだったら、クルーグマンが言った通り、バーナンキ議長は今すぐバーナンキ教授の意見を聞くべきだし、財政だってそのようにすりゃいい。失業率がすんなり下がらないんだったらなおさら。


でも、バーナンキ議長はバーナンキ教授の意見をまだ聞く様子がない。


クルーグマンは壊れたオルゴールのようにもっと緩和しろもっと財政を出せと言うお人で、彼の言ってることが正しいかどうかは知らないが、あれはあれで筋は通ってると素人目には思う。でも、ポール君はバーナンキのつらさが分からないのか、あるいは分かってて応援してるつもりではあるんでしょうが。。。あるいは、ポール君のあれはあれで「芸」だとして割り切って、あまり真に受けない方がいいんだろうけど。


ところで、毎度おなじみ日本のリフレ派があたしに全く分からないのは都合よくクルーグマンを持ち出すことで、もっと財政出せとか大きな政府がいいとは絶対に言いそうにない人たちがリフレをやれと言う。でも、リフレ派はイギリスみたいな状況についてはお口にチャック。


も、ちゃんちゃらおかしいよ。

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英米は経済学の本場だから、ドイツみたいな経済学二流国の緊縮一辺倒じゃなくて、新聞記事もまともになるらしいけど、FTにこんなのでたね。
ビジネス : 日経電子版

わたしの意見というのは特にないんだけど、ドイツがああなのは理解はできるし、市場の目を気にして緊縮財政して規律を高めようという各国政府の努力も分かりますよ。いいかどうか、どうなるのかは、そこは経済学者の間で喧々諤々やってもらったらいいわけで。


傍観者として眺めていてかねてから思うのは、なんで経済学者やその筋の専門家行政家でも意見が割れる話に、これだからドイツはダメだと素人が割り切れてしまうのかとか、イングランド銀行は金融緩和をしてリフレ派大喜びだったはずが肝心の総裁が財政規律をちゃんとしろという人物だったということはつまり、、、つまりここでもそうだけど、何で素人がそこまで大上段に物が言えるほど判断できるんだとか、いや、経済学ってそんなに簡単な学問なの?まあ、なんにせよ「そもそも」つきの疑問がつきない。


もっと「そもそも」を言えば、権丈善一先生が「エコノ君」としてからかってるけれど、
勿凝学問 295 やっぱり、経済学が悪いのではなく経済学者が悪いんだと思う 経済学教育方法考


そもそも、経済学が前提とするようには必ずしも人間は都合よく行動してくれないという点で、なんでそこまで素朴に「エコノ君」を信じられるのか、さっぱり理解できない。


・・・いや、そういう前提をよくよく含んでおいたうえで議論してくれるならいくらでも議論すればいいし、それはそれで面白いだろうし、何か出てくるんだろうと思うけれども、「リフレ派」ってそうじゃないでしょ。どう見ても。


ちょっと以前のリフレ派のブログを読んでいたら、例によってたいてい岩田規久男高橋洋一がネタ本で、、、というか、あの人たちの本を元に日本銀行を叩いてる人をちょいちょい見て、ま、罪深いことよ、と思わざるをえなかった。


、、、罪深いよなぁ。

追記
上のWikipediaの記述見たら面白いね。

日銀は0〜2%の物価上昇率の目安(日銀の認識を示す目安であって、日銀の政策目標としての規律性は持たない)を設定しているが、

ま、分かるんだけど、じゃ、インフレ放置している英国の中央銀行の目標には「規律性」はないんですかと言いたくもなりますわな。


あるいは、もしもバーナンキ議長がバーナンキ教授の意見を聞いたとして2%をずっと超えるインフレになったとき、たぶん雇用がとかなんとか言いわけつけるはずだけど、じゃ「規律性」ってなによと。


「フレキシブル・ターゲット」の一面ってようはそういうことなんでしょ。逆に規律性を云々するならイングランド銀行をメタメタに叩くべきだし、他方で雇用についても課題が科せられているはずなのに物足りないバーナンキにはポール君のように天誅を下すべきでもありますよ。日本銀行だけ叩くんじゃなくて。そう考えると「規律性」という言葉のこの場面での使われ方に、なんというの、悪意があるよねえ。