扇動のための不当表示としての「リフレ派」 part152

本日付の日本経済新聞浜田宏一教授のインタビュー記事が出ていたので、記録として抜粋を残しておきたい。

読んだ感想としては、学者として自分の誤りを認めて訂正する柔軟性は、あの年齢で立派だとは思うものの、内閣官房参与は務まらないのははっきりしているのだから、すぐに責任を認めて辞めるべきだと思う。

学問上の理論と、生きている現実とずれているのは当然だけれど、その理論を現実にはめようとするとき、それは一回きりの賭けであって、そこで絶対に負けない賭けをしないといけない。理論を現実に当てはめるためには、それ相応の準備というものが必要なはずだと思う。

なぜなら、その賭けには、多くの人々の生活や人生がかかっているのだから。

一国の政策を決めるのは、1+1=2、みたいな、簡単に、すんなりと行くわけがない。現実という大きな抵抗がある、あるいは、いろんな変数がある。

その分だけ、慎重であらねばならないのは当然のことだと思う。

その、理論を現実に応用する困難さをあまりにも軽く見積もっていたリフレ派の人たちはどうするんだろうか。

その意味では、黒田日本銀行総裁もそうだけれども、なにより岩田規久男日本銀行副総裁は即刻辞任するべきだと思う。なにせ2年で物価上昇率2パーセントにならなければやめると大口を叩いて、まだ居座っているのだから。

リフレ派は、醜悪な財務省陰謀論をあれだけばらまいてきて、自分たちの失敗を認めずに居座っている現状を、いったいどう思っているんだろうか。

・・・

まず浜田教授の紹介文。

ソロス氏に円高投機をやめてくれと直言したことも。

と書いてある。ジョージ・ソロスとそれだけ親交があることを宣伝しているけれども、冗談で言っているならともかく、投資家は利潤が出るかどうかだけ考えているのであって、なんで日本人の経済学者の「直言」をいちいち聞かなきゃならないのかが全く理解できない。

この「直言」という日本語に、非常なこっけいさが漂っているように思う。

以下、リフレに関連しそうな部分を抜粋。

アベノミクスの『第1の矢』では岩田規久男日銀副総裁のインフレ期待に働きかける政策が効いた

国民にとって一番大事なのは物価ではなく雇用や生産、消費だ。最初の1、2年はうまく働いた。しかし、原油価格の下落や消費税率の5%から8%への引き上げに加え、外国為替市場での投機的な円買いも障害になった

私がかつて『デフレは(通貨供給量の少なさに起因する)マネタリーな現象だ』と主張していたのは事実で、学者として以前言っていたことと考えが変わったことは認めなければならない

ジョージ・ソロス氏の番頭格の人からクリストファー・シムズプリンストン大教授が8月のジャクソンホール会議で発表した論文を紹介され、目からうろこが落ちた。金利がゼロに近くては量的緩和は効かなくなるし、マイナス金利を深堀りすると金融機関のバランスシートを損ねる。今後は減税も含めた財政の拡大が必要だ。もちろん、ただ歳出を増やすのではなく何に使うかは考えないといけない

政府の負債である公債と中央銀行の負債である貨幣は国全体のバランスシートで考えれば民間部門の資産でもある。借金は返さずに将来世代に繰り延べることもできる。リカードの考えでは公債は将来の増税と相殺されてしまうが、そこまで合理的な人はいない

私は食料とエネルギーを除く『コアコア』の消費者物価指数でインフレ率が安定的に1・5%に達したら、消費税率を1%ずつ引き上げてはどうかと提案している。逆にそれまでは消費増税を凍結すべきだ

金融緩和は『かうものがない』のであれば米国債も選択肢になる。過度な円高を仕掛けた人は介入でとがめればよい

ロシアとの外交では米国の嫌がりそうなこともしているのに、どうして円相場が5円も6円も円高に動いても為替介入ができないのかということだ。財務省も米国の嫌がることができるような通貨外交をしてほしい

・・・

どうだろう。私はこれを打ち込みながら、全ての段落に突っ込みを加えたくなった。とくに「ではどうするか」に答えたところから後は、無責任も甚だしいとしかいいようがない。もう十分、自分の見込み違い、自分の考えの安易さに懲りないといけないのに、まだ懲りずに、安易な考えを披歴している様子は、「無責任」という以外に言葉がない。

プロフィールには浜田教授は「80歳」とある。この老人の言うことに耳を貸す政府は、本当におかしい。

そして、この老教授の言うことに今まで付き従ってきた、リフレ派の面々、あるいはリフレを強く支持してきた人々の責任を問いたい。

どういう落とし前をつけるつもりなんだ。