扇動のための不当表示としての「リフレ派」 part54

陰謀論脳の人のエントリがなんか回って来たので読んでみたけど、つまんないのでついでに過去ログをざっと眺めてみた。
2005-11-20

この言葉にあるように左派は気に入らない社会構造を変革することが目的ですから、リフレ政策で全体的に景気が良くなると社会構造の矛盾が目立たなくなり、却って好ましくないことになります。そのため不況の方が望ましいという点で、清算主義派と利害が一致することになります。


さて、民主党は右派と左派の野合だとよく批判されますが、民主党右派は清算主義的な改革派が中心ですから、不況を通じた社会構造の変革を望んでいるという点では左派と意見が一致します。もちろん「変革」の方向性は反対ですが、どちらも景気が良くなって社会構造の矛盾が目立たなくなることは望みませんから、景気回復を望むリフレ派を敵とすることで、左派と清算主義派は手を組むことが出来るでしょう。
つまり今の民主党は不況を望む人達の連合体であり、このような政党がリフレ政策に賛成する可能性は低いと思います。そして民主党が一見野合とも見えるグループで構成されていることも、一貫してリフレ政策に反対していることも、左派、右派が共に不況を改革の好機と見なしていると考えれば、納得できますね。

これが2005年。いまや、リフレ派は高橋洋一にどっぷりで、構造改革路線と組んでるわけなんだけども、と。


ここで、直近のhamachan先生のエントリ。コメント欄に、
クルーグマンさん、何を仰います?: hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

(前略)
もちろん「左派リベラル」のクルーグマン
「右派新自由主義」の一部の日本のリフレ派では
この先意見の一致がずっと続かないだろうとは思いますし、その点で濱口先生には同意しますが・・
投稿: eternalwind | 2012年7月15日 (日) 02時02分

とあるのはその通りなんだけど、7年でこうも変わるかと思いますわね。(いやいや、変わるというか、最初からこういう人たちだったんだな)


しかし「景気回復を望むリフレ派」ね。。。原発でまとまれないくせになーにが「景気回復」だよ、と言ってみたくなりますね。


2005-11-13

しかし、政府は財政状況に応じて国債発行量を独自に決定しますし、民間の国債需要も国や日銀がコントロールできるものではありませんから、中央銀行が購入することの出来る国債の額には上限があるでしょう。
つまり、国債購入によって達成可能なインフレ率には限界があることになります。もしそのインフレ率がターゲットの達成に必要なインフレ率を下回る可能性があるならば、中央銀行がいくら断固とした姿勢を取ってもターゲットを達成できない可能性があるので、市場のインフレ期待は高まらないでしょう。


この問題を解決するためには、(ターゲットを達成するために必要なだけの量)+(民間の国債需要)に相当する分だけ政府が国債を発行して、日銀が(ターゲットを達成するために必要なだけの量)の国債を引き受けられるよう、最初から決めておく必要があります。(略)
そのような政策を確実に行うためには、中央銀行による国債引き受けを認める必要があると思います。だから中央銀行による国債引き受けを認めないと、インフレ期待も高まらず、リフレ政策は成功しないと思います。

財政マネタイズは是か非か - Baatarismの溜息通信

ただ、僕は本当に必要なのは、財政マネタイズ防止策ではなく、デフレ脱却後に速やかに財政マネタイズを停止するための仕組みだと思います。
また、景気が過熱したときには財政マネタイズで増大させたマネーを吸収するために、財政赤字の削減も必要になりますが、それは好景気で行うことができますので、政治的な障害は小さいでしょう。

ただ、中央銀行として、デフレ脱却後に財政マネタイズの歯止めが掛からない事態は避けたいというのは理解できますから、そこはリフレ政策を実施する際に考慮すべきでしょう。
そのためには、デフレ脱却後の財政赤字削減を政府がコミットすることに加えて、デフレ脱却後に速やかに財政マネタイズを停止するための仕組みを作っておくのが良いと思います。

分かったからあんたがやれば、と言いたくなりますな、この床屋政談ぶりを見ていたら。飲み屋で野球チームの監督の悪口を言っているのと全く同じだ。


野球だったらまだいいんですよ。笑ってすむから。


政治だったらちょっと話変わる。床屋政談でも高みの見物ポジションでもいいんだけれども、そこまで言うならあんたがやれよ、責任を持って。責任取れるんでしょ。


いや、リフレ派のなかの誰でもいいよ。中央銀行国債を引き受けさせて、デフレ脱却後に財政マネタイズをやめさせるようにすりゃいいじゃないか。


・・・そんな責任を取れる人、だーれもいなかったわけでしょ、ようするに。
消費税増税後の日本 - Baatarismの溜息通信

このように、考えれば考えるほど、国民生活や日本経済、国家財政、さらには民主主義にとっても害ばかりで、財務省やその取り巻きばかりが得をする消費税増税だとしか思えません。
こんなことはどこかでやめさせないと、日本は権力者の取り巻きばかりが得をするクローニー・キャピタリズム(縁故資本主義)になってしまうと思います。
今回の消費税増税で唯一良かったことがあるとしたら、この件について財務省が露骨に介入していることがはっきりしたことでしょう。もし僕の予想が当たって2014年に日本が大不況になったら、その最大の責任者が財務省であることは間違いありません。このことは忘れないようにしないといけませんね。

頭のいい俺たちの言ってる通りにやらない官僚はアホだ、連中だけが得するんだと言ってりゃいいんだったら楽でいいわ。


どこまでも他人事、どこまでも無責任、ひたすらの床屋の政談・高みの見物モード。悪いのは全部お上にして最後は陰謀論


いや、ひどいよね。

追記
「景気が過熱したときには財政マネタイズで増大させたマネーを吸収するために、財政赤字の削減も必要になりますが、それは好景気で行うことができますので、政治的な障害は小さい」「デフレ脱却後の財政赤字削減を政府がコミットすることに加えて、デフレ脱却後に速やかに財政マネタイズを停止するための仕組みを作っておくのが良いと思います」


いやあ、何度読んでも、やれるもんならやってみろって話だな、本当に。できるわけがない絶対無理とは言わないが、そんな責任誰も持てやしない。だいたい財政赤字削減をデフレ脱却後にコミットするって言うけど、そんな信用を政治家にできるかw。


ほんと、どこまでも机上の空論をぶつけてるだけだよ、これ。現実にやれる人がいないんだもの。

追記2)
https://twitter.com/euroseller/status/224499455276232704

TLで断言口調で語るときは本当にその分野に一番詳しいくらいの自信がないとツッコミが入るよね。特に理工系分野では。しかし経済分野ではああ言えばこう言うで諸説蔓延しているので自称経済学者に誰でもなれそうだな。経済学が逆立ちしても理系に入れられないのは理論を実証できないその特性にある。

・・・そんな感じですね。