うっかりこういうtweetを見つけた。

https://twitter.com/Uriel625/status/1110878091553857537

🌸Uriel 🌸 @Uriel625
返信先: @Uriel625さん、@joker_sburnさん
2017年:イタリアでワクチン接種義務化⇒https://www.afpbb.com/articles/-/3128922?act=all
2018年:反ワクチン政党によって義務化廃止⇒

https://www.huffingtonpost.jp/2018/09/11/anti-vaxxers_a_23523492/
2019年:反ワクチン政権誕生後のイタリアを中心に、麻疹アウトブレイクアメリカにも飛び火⇒https://t.co/IVvlAmk4RI

2017年のワクチン接種義務化というのはLorenzin大臣が熱心に導入したものだというのは知っているが、あとの二つがよく分からない。

 

というのも、アンチワクチングループが非常にうるさい、程度のことなら知っていても、あまりにもバカバカしいので、こんな議論はまともに追っかけていない。でも、義務化を廃止なんて聞いたことがないな。。。

 

ということで、リンクされている記事を見る。

反ワクチン派の政党が政権をとったイタリアで今、起きていること | ハフポスト

五つ星運動は3月のイタリア総選挙で、ワクチン接種の義務化に反対する公約を掲げて勝利し、2018年8月、ワクチン接種に関する政令を廃止する法案が可決された。

え、そうだったの?と思って調べてみたが、義務化を廃止したという話はどこにも見当たらなかった。これは何のことを言っているか分からないんだが、若干の制度改正はあったようであるけれども、たぶんそのことなんだろう。義務化は廃止していない。(無論、私はイタリアのワクチン事情を追ってないので、間違っていれば教えてもらいたい)

 

五つ星運動の支持者たちが強いアンチ・ワクチン傾向を持っていたことは間違いなくて、記事にもあるようにベッペ・グリッロも無茶苦茶言っていたように思うが、なにせ関心がなかったので全く記憶にない。

 

ただ、五つ星運動も全員がアンチワクチンというわけではなく、中に医者がいたりして、必ずしも一枚岩ではない。

 

この1月、元首相のマッテーオ・レンツィとベッペ・グリッロが覚書を交わしたことは記憶に新しい。それは科学に関するもので、科学は人類の進歩の普遍的価値を有することなど5点挙げられている。

Grillo firma il patto pro-vax di Burioni: "Io contro? Polemica da terrapiattisti". E Di Maio prende le distanze - Repubblica.it

 

その2点目に、疑似科学や疑似医療を支持しないという項目がありそこに「アンチ・ワクチン主義」が例示されている。

 

当然、五つ星運動内から裏切りだという声が出たが、グリッロは「自分はワクチンの義務化に反対しただけで、これは政治問題の範疇だが、ワクチン自体には反対していない」と、舌をペロリと出して開き直ってしまっている。

 

さて次の記事だが。

反ワクチン地域ではしかアウトブレイク。州知事が非常事態宣言(米) | ギズモード・ジャパン

反ワクチン政権誕生のイタリアを中心にはしかが大流行し、上半期だけで4万人以上が感染して死者も出た昨年の欧州に続き

 

英語版で確認すると、

https://gizmodo.com/measles-outbreak-worsens-in-washington-as-governor-decl-1832087781

"Italy"や"ital"で調べても、反ワクチン政権がどうのという部分は引っかからなかった。ざっくり見ても、そういう部分はなさそうである(見落としかもしれないのであったら教えて欲しい)

 

ちなみに、イタリアのはしかの患者数は2017年が3501件(

Allarme morbillo, due morti a gennaio)、2018年が2526件(

https://www.epicentro.iss.it/morbillo/aggiornamenti)だそうだ。

 

つまり、「反ワクチン政権」とはしかの流行とは関係がなかった。

 

・・・

 

私は五つ星運動に極めて懐疑的で(このところ五つ星運動の支持率が落ちてきて結構だと思っているが、その代わり北部同盟の支持率が高止まりしていて往生している)、アンチワクチン運動もバカらしいと思っているが、こういうイタリア情報は大いに問題があるだろう。

 

もちろん、悪いのはtweet主のUrielさんではなくて、こういう記事を書いて、かつ日本語で出している媒体が一番悪い。 

 

特に英語圏からイタリアに関する情報をとるのは注意した方がよいのは以前から書いている通りで、基本的にアルプスから北の連中はイタリアをバカにしているのだが、とりわけ英語圏の人間の偏見はあまりにひどい。それがこういうところに出ているんじゃないだろうか。