今度はイタリアで揺れ.....同じ半島だが /YCASTER 2.0:伊藤洋一公式サイト
ウォールストリートジャーナルから引いているようで、元の記事は読んでないけれど、気になったところがいくつか。

 なにせ本来は「中立」である筈のイタリアの大統領が、議会の多数派を占める反EU勢力(七つ星(ママ)と同盟)と対立してしまって、暫定政府は出来たものの、「夏から秋にかけてはまた選挙」という動き。

まず、イタリアの大統領が、「本来は『中立』」ということはない。もちろん、党派に偏ったことはあからさまにできないが、憲法上かなり大きな権限を大統領は保証されており、ヨーロッパでもっとも強力、とすら言われるくらいだ。(前任のジョルジョ・ナポリターノはその剛腕から「キング・ジョルジョ」とあだ名された)

今回の場合は、イタリアは欧州統合に積極的に寄与しなければならないという大方針との兼ね合いが問題になっているのだが、次の点が重要だと思う。

上の記事では、反EU勢力として北部同盟五つ星運動が挙げられているが、そもそもこの二つがどこまで「反EU・脱ユーロ」なのか全く分からない。

たしかに、普段の発言や選挙運動の中ではかなり強烈なことも言っているが、現実にはトーンを相当に改めており、たとえば五つ星運動は3月4日の選挙後に政策集をひそかに書き換え、欧州政策についてはより穏当なものにしていることが問題になった。

また、五つ星運動ルイージ・ディ・マイオは繰り返し、ユーロから抜けることは考えていないと強調している。

同じことは北部同盟のマテオ・サルヴィーニにも言えて、今回の組閣でも脱ユーロは考えていないと言っている。

大統領としては、そうは言うものの、普段の言動が言動なので真意が疑わしいため、そこのところを明確にするべきだという考えでいるようだ。もっともなことだと思う。

最近の政治風刺画でも、北部同盟五つ星運動ができない政策を選挙で訴えて、連立協議でそれを変えることの責任をお互いになすり付けるというものがあった。みなよく分かっているのだ。

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現在のイタリア政局はまたもや変わり、五つ星運動ルイージ・ディ・マイオは大統領に対する態度を軟化、北部同盟との連立を再び目指すとして、問題となっているパオロ・サヴォーナを財務・経済以外の大臣ポストにつける案などを出しており、現在の首相候補であるカルロ・コッタレッリは大統領府と密に連絡を取って事態を注視している模様だ。

北部同盟のマテオ・サルヴィーニは支持率が上がっていることもあって、ヴァカンス明けの選挙を求めて譲らない様子だけれども、これもどうなるか分からない。

事態は非常に流動的で一日ごとに変わっているうえ、イタリアの新聞もそれに大きく振り回されるのが通例なので、こちらとしては楽しく振り回されるのが上等、というように私は考えている。

もちろん、イタリア政治ウォッチについては、日本人にも非常に詳しい人がネットには何人かいる。私なぞは暇つぶし程度でもあるので、詳しい情報はそちらを見た方が良い。ここに書くのはせいぜい備忘録・頭の整理程度。

日本語の新聞では、毎日新聞の記事が非常によくまとまっているように思われた。