■

原爆に対する私の考えは、他の人と違って、わりに是認するものであることは、以前にも書いたように思う。

もちろん、一般市民の大量殺戮を、原則的に否定し、大戦中の日本の蛮行を含めて、すべて非難する立場はよく理解できるし、私もそういう立場を基本的にはとりたいものだと考えている。

この立場で行くと、広島・長崎の原爆投下も非難されるべきものとして真っ先に挙げられるべきだ。そのとおり、と私も思う。

ただ、これを他国の人間が言うならともかく、日本人である私としては、ちょっと別の考えも言いたくなる。

・・・

つまり、ヒロシマ・ナガサキの蛮行をもって被害者ヅラはしたくない、ということに尽きる。

これは米軍による都市爆撃もそうだけれども、自分を被害者の立場に置いて何かを訴え、他方で自分たちが何をしてきたかを閑却せんとする議論には与したくない。

しかも、当時の日本は、原子爆弾を投下されても、まだ戦争を続けようとする向きもあったわけで（和平交渉を進めていたではないか、などという話は全く関係がない）、かつ原爆投下がなければ少なくとも当分は戦闘が続いたはずだった。

それだけ日本人はバカだった。

さらに、原子爆弾を落とされても、それくらいでは日本人は全く変わらなかったどころか、被害者ヅラすることで逆恨みするようになっている。そのようにしか私には見えない。

つまり、それほどまでに、とことんまで日本人はバカだったし、それを忘れている今も、やはり度し難いほどのバカのままでいる。

これほどバカではあるものの、原子爆弾を落としてくれた「おかげ」で少なくとも戦争は終わらせることはできた。当時としては先進的な憲法を日本人は手に入れることができた。

今の憲法を手に入れられたことがいかに僥倖だったかは、現在の日本人が基本的人権のありがたみを理解せず、そこに手を入れようとしても平気でいることから見ても明らかではないか。

今の日本人は、ちょっと小金持ちになったくらいで偉そうにしているが、それで被害者ヅラをする権利があるとは私には到底思えない。

本当にすべてをチャラにして、被害者ヅラをしたいのであれば、戦後、日本が手に入れた経済的利得をすべて放り出して、全部ゼロから始めてからにしてもらいたいと、私は本当にそう思っている。

「自分たちの過去の蛮行はなかったことにしたい、でも敵方の蛮行は大いに非難して自分を甘やかしたい、当然、自分たちが稼いだ金を全部チャラにするなんてとんでもない。」

そんな人たちの言うことを、誰がまともに聞いてくれるというのだろうか。少なくとも私は、そういう人たちと一緒にしてもらいたいくない。

だから、日本人として私は原子爆弾を肯定する。あれがなければ、私は今ここにいなかった。曲がりなりにも基本的人権が保障された国に生まれることはなかった。そして、あれでも大して効き目がなくて残念だという一言も添えたいと思う。