扇動のための不当表示としての「リフレ派」 part89

http://www.h5.dion.ne.jp/~bond7743/doramemon1212.html

2012/12/03
お題「今さらですが先週の総裁講演ネタ/生産性も無くまたも安倍さんに釣られるあたくしorz」
(略)
・これもまたポカーンな

まあ大体ここは電波浴御用達メディアなのでネタにするのも何ですけどつい釣られクマー。

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/34188
浜田宏一(イェール大学教授)×安倍晋三自民党総裁)「官邸で感じた日銀、財務省への疑問。
経済成長なしに財政再建などありえない」

まあ経済成長しないで財政再建するのが大変というお題は判るのですが・・・・・・・・・

と、毎度ドラめもんさんが例の日本銀行の目的の独立性のところにわざわざ日銀法を引いて突っ込みを入れてるわけですが。

・・・・・・・・・・・・・・・うーむ、日銀法と連邦準備制度法で示している「目的」はどちらも設定されております(日本の場合は銀行券の発行、決済システムの円滑、信用秩序の維持、物価の安定とならんでいて、米国の場合はご案内のように「the goals of maximum employment, stable prices, and moderate long-term interest rates」ですな)が、このどこをどう読むと「日銀法では目的の独立性がある」という話になるのかさっぱりわからないのですが、もしかしたらイェール大学の教授ってえのはご本人の母国語で書かれた文章が読めなくても務まるものなんでしょうか?????

ということで、何かさっきの安倍さんの話でそもそも前提となる理解に事実誤認がございますが大丈夫ですかというツッコミが(今日だけじゃなくて)成立することの原因って結局ブレーンとやらの方々のアレっぷりがそのまま出ているという風情でありまして・・・・・・

もちろん浜田老先生がご指摘なのは、法律上の「目的」ではなくて、より具体的な金融政策上の目的、現在の文脈ではインフレ目標の数字目標のことをさすわけです。


すなわち、中央銀行は手段の独立性は有するが、目的たる目標物価上昇率の具体的な数字については政府が設定して云々という議論。


で、このネタが高橋洋一あたりからもう散々垂れ流されているわけですけれど(いちいち引かない)、でもこれはバーナンキの発言も震源だったりすることを思い出すわけです。


例によってbewaadさんからなわけですが。
http://d.hatena.ne.jp/bewaad/20110401/p1

バーナンキ議長講演 中央銀行の独立性、透明性、そして説明責任 - リフレーションに関連する海外記事および論文集 - アットウィキ

この改善された金融政策の運営に含まれるものでとくにみるべきものとしては,中央銀行の独立性の強化,金融政策委員会における透明性の向上,そして,金融政策に委託された目標として物価安定を掲げること,が挙げられます.インフレ目標は,こうした原則を体現する枠組みとして広く採用されています.これは,政府がインフレの数値目標を設定し,その目標の達成は中央銀行の責任とするものです.インフレ目標だけでなく,これと同様の金融の枠組みも実効性が確認されています.

で、bewaadさんが「バーナンキ議長だって神様じゃないんだから誤りはあり得るはずで、きちんと裏を取ろうということではありますが」と書いておられますけど、もしこれが世界の標準だという意味でバーナンキが発言したなら明確な誤りなのであって、政府がインフレ目標を設定して中央銀行に課している国は四つしかない。(ブラジル・イスラエルノルウェー・イギリス)


さらにこの講演は皮肉なことに日本銀行の独立性についても触れられており、

1997年に日本で日銀に政策運営の独立性を認める法律の改正がなされた際にも,中央銀行の独立性の重要性がその動機となっています.この改正は財務省が日銀の意思決定に影響を及ぼしうる範囲を大幅に減じました .これにより,日銀は金融政策立案に関して自律性を強めることとなったのです.

と肯定的に指摘されています。

・・・

で、これを言いふらしているのが高橋洋一であることは間違いなくて、たとえば橋下徹が、
http://twitter.com/t_ishin/status/190578983606292480

そして有権者が選挙でその政治の責任を負う。政治が日銀人事に口を出すのは当然だ。むしろ、目標の独立性と手段の独立性を混同している。目標は政治が決めるべき。そしてその目標を達成する手段は専門家に任せるべき。首長と教育委員会の関係と全く同じだ。日銀が全て正しい判断をするわけではない。

Tweetしているのはその影響でしょう。


そして今、安倍さんが同じことをおそらく信じていると。


ようは、このネタって高橋洋一とかあのあたりの人たちと関係がある人たちを浮かび上がらせるネタとしては格好のリトマス試験紙なんだと思うんですが。


・・・しかし、イェ―ル大学の先生までこんなこと言ってるようじゃ話にならないな。

追記
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012120202000113.html

そこから政治家が日銀に口出ししていいのか、という議論も浮上しました。「日銀の独立性を脅かす」論です。しかし、独立性とは日銀がどう緩和するか、政策手段に与えられたものなのです。
 政策目標すなわち物価安定の目標について政治家や政府が責任をもって議論していくのは、民主主義統治の原則からいって自然な姿です。デフレやインフレで困るのは国民自身なのですから。

ま、このへんは長谷川某と高橋洋一がつるんでることを思うとまあそうだろうと言うところなんだけど、

今後は国債を買い増すなら、国債の信頼失墜を防ぎながら、どう買い続けていくかが課題になります。それは本来、日銀が考える仕事です。

だって。ひどいよね、この丸投げぶり。政治家は言いっぱなしで何も悪くないわけだ。


じゃ、政治家の皆さんは、国債の信頼失墜を防ぐ言動を、そして経済成長を高める政策をどんどん進めるべきなのに、ってかそれが政治家の責任なのに、そういう責任感を感じられますかってんだよ。


橋下にしろ安倍さんにしろ、こういう連中のレクチャーを受けてるわけですわ。。。トホホorz