国境封鎖して、移動の制限をした欧州各国ではファシズムの危機など叫ばれてないではないかという話を見た。

 

これは大変に微妙で、私は追っていないので何も言えないが、現実にはかなりセンシティブな問題のはずだ。「公共の福祉」一本だけでいけるのかどうか、また気が向いたらあちらさんの議論を見てみたいと思っているが、私にはその余裕はない。

 

ただ、イタリアの場合は、今の首相が法律家であり、EU諸国の首脳からも信頼されていて、そういう人物なので許された部分がかなりある一方、法律家からの批判も存在する、ということはここに明記しておく。

 

欧州内でも、無批判にこれまでの処置がなされてきたわけでは決してなさそうだ。

 

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私は、ロックダウンは現在の目から見て明らかに過剰な処置だったと思うし、当時の判断としては仕方がなかったのかなとは思うものの、民主主義国がここまでやるとはだれも想像していなかったはずだ。

 

ロックダウンをした経緯については、後々まとめたものを読んでみたいし、いろんな要素があって一口に言えない。ただ、一つだけ気になっているのは中国の影響。

 

イタリアと中国の関係についてはかなり密接であることは周知のところで、3月のアウトブレイク後、中国が積極的な「援助外交」を展開して、医師の派遣やマスクなどの物資の援助を行っていたことは記憶に新しい。

 

一時的に中国の積極的なイメージ戦略は成功して、「EUよりも頼りになる」ことにすらなっていた。

 

さらに、イタリアに来た中国人の医師が記者会見を行い、イタリアの措置のここがいけないという説教をした。

 

「まだ人通りが多すぎる!」

 

という類いのことを記者会見で言う。私は異常な光景だと思って呆れた。

 

たとえていうなら、中国人医師が東京にやってきて、記者会見を開き、会見場の真ん中に中国人医師が鎮座して、

 

「銀座の人出がまだ多すぎる!」

 

というのを、隣で小池百合子東京都知事が黙って聞いている。日本に置き換えるととても信じられないし想像できないが、そういうことまでイタリアはやった。

 

はっきり、異常だ。

 

ロックダウン導入に際して、中国の影響がどの程度あったのか、これはじっくり検証してほしいと思う。

 

何度も書くが、ごく最近でも「中国の真似をしろ」というイタリア人の医師がメディアで発言しており、これも私には呆れることだった。

 

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私はまた、マスク着用義務についても中国の影響を、これは軽ーく疑っている。

 

最近になって欧米が一斉にマスク教徒になっており、そのきっかけとなる英語の論文もあることは承知しているが、中国人医師の説教の中に「マスクが一番重要だ」と言うものがあったことを記憶している。面倒なので検索しないけれど。

 

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念の為。私は新型コロナウィルスが中国による人工ウィルスだという説を支持するものではない。

 

ただし、新型ウィルスによって引き起こされたパニックから、最大限の利益を得ようとしているのが中国であり、それに今のところ勝利している、ようにしか見えない。

 

私たちは民主主義国家に住んでいる。中国と同じことはできないし、基本的人権の制限には極めて慎重でなければならない。

 

その意味で、私権の制限に大変に慎重だった安倍さんは、あんまり褒めたくないけれど、ここは認めざるを得ない。

 

他方で、コストとベネフィットを天秤にかけられなかったイタリア政府と、それに追随した欧州各国政府の対応についてはいろいろな検証が必要だ。

 

後年の検証を待ちたい。