イタリアの知人にそちらはどうかと聞くと、

 

「イタリア人はBAKA。一番ひどいときに、高齢者施設に軽症者や不顕性の人間を放り込んで、それで年寄りがたくさん死んだ」

 

という。日本でも、東京の病院で似たようなことが起こって、入院患者が大量に死んでしまった例があるわけだが、イタリアの場合は規模が違いすぎる。

 

・・・

 

うちに医者である知人が来た。マスクしてきたが、うちは窓を開けて換気を心がけている。

 

マスクをどうしたらいいか聞かれたので、

 

「先生が決めてください。どっちでも」

 

というと、

 

「暑うて、こんなもんしてられへんわ」

 

と言ってマスクを外した。そりゃそうだろう。

 

・・・

 

この先生は新型コロナで直撃を食らった世界の開業医だが、まあ大変なんだそうで、患者が通常時のまだ半分しか来てないと。

 

患者が来ないということは売上が上がらないということなので、商売あがったりで完全な赤字、千万単位のマイナスだから持続化給付金なんて雀の涙、

 

「税金返ってくるわー」

 

とか言って笑っておられた。先生の医院は財務内容がしっかりしておられるはずなので、当面は困らないのだろうと思うけれど、これが新規開業などで多額の借入金がある病院だと大変だろうと改めて思う。

 

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ネットで、医師らしい人たちに割に楽観的な話を強調する先生が少なからずいるのはこういう問題があるからだというのは明らかで、必ずしも公衆衛生上の観点のみから物を言っているのではない。

 

ただし、これは裏を返せば、ロックダウンしても経済的なコストの問題に十分思い至らない医師が安易に都市封鎖を唱えたり、感染予防対策として現実味を欠いた方策を言ってみたりすることと全く同じだと思う。

 

ロックダウンの損益計算をしないとならないわけだが、事ここに及んでまだ、都市封鎖にコストを超えるベネフィットがあったと信じられる人たちが存在すること自体、私には到底信じられない。

 

開業医として自分の懐を痛めながらものを考えている医者の方が、まだまともだろうと私は思っている。