たぶん、新型コロナ絡みのニュースを英語で熱心に見ている人は間違えると思う。

 


海外では今はマスクが熱心に推奨されていて、「日本の奇跡」の原因はマスク着用だとされている!みたいな話を見たので、何かと思ったら、英米の報道機関がマスクを熱心に奨めているそうである。

 

なるほど、これを日本人が見ると、世界の最先端はこれだ!マスクだ!これについていかない日本人は遅れている!と信じるのか。

 


毎度毎度言うように、海外の報道機関による日本関係のニュースは、まず信用できない。

 

それに、今回のコロナ騒ぎでは、海外メディアは一貫してパニックの増長に資していただけで、マトモな報道がなかなかないことによくよく注意するべきだと思う。メディアはほとんど邪魔しかしていない。

 

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マスクの着用に一定の感染抑止効果があるのかもしれないが、私自身は抑止効果の程度については疑わしいとまだ思っている。

 

2月半ばに私は東京に行った。交通機関の通勤客や、ホテルの従業員たちやコンビニの店員といった人たちはマスクをしていたが、それ以外の場面でマスクを着けていた人はたいしていなかった。

 

その頃は、公衆衛生の専門家も満員電車でマスク着用の必要性を認めない、自分もつけてないと公言していたものだ。

 

私は歌舞伎座国立劇場で歌舞伎と文楽の観賞をした。年寄りがあつまる、三密注意もへったくれもないところだ。それでも、マスクをしていた人はほとんどいなかったように思う。アルコールの手指消毒はあったので、これは私もよくやった。

 

東京でこうだったが、私の身の回りを振り返ると、そもそも病院の医師の防御が普段は甘い現実がある。一般の医院でそこまで衛生を意識して経営する医院は少ない。

 

今でこそ、みな、かなり防御するけれど、手袋やマスクなど、経費を削るためにできるだけ交換しない病院は実際にある。それで豪邸を建てた医者なぞ、陰で「グローブ御殿」などと言われたりしている始末だ。

 

私のすむ街の大きな私立病院ですら不潔だと言われているので、一般的な診療所だとどうなるか、十分に察せられるだろう。

 

もっともそういう医者ばかりではない。

 

私の知人の診療所には日本でも僅かしかない高価な滅菌機があり、それが自慢だが、普通に経営だけ考えれば、診療所の規模を考えると、こんな投資は全くの無駄で自慢にならない。

 

ただ、こういう衛生意識の高い医者だと新型コロナ以前も以後も、普段の診療中の防御は変わらないが、そんな医者は極めてまれだ。

 

だいたい、医者自身が日常生活の中ではアホくさくてマスクしない。3月時点で、近所のスーパーで知人の医者を何人か見たが、マスクを着けている医者は1人もいなかった。他の客はみなマスクしているのに、だ。

 

3月上旬には医者仲間で普通に飲み会をやっていた。ましてや、医療関係者は「夜の街」が超がつくほど大好き、というよりも仕事のストレスから必要悪なのが「夜の街」だ。遠慮せずに行きまわっていたに違いない。

 

何を言いたいかというと、これで2月中に院内感染からの感染爆発が大問題にならなかった理由はなにか、と。常識的に考えれば、こういう話になるのが当然だろう。

 

これが、マスクが「日本の奇跡」の大きな原因だったとは私には到底信じられない理由だ。

 

したがって、「日本の奇跡=マスク」説が海外メディアから出ているらしいのは、メディアがいつものように日本の実態を知らないだけだとしか、私には思えない。

(追記)
ケンブリッジの研究グループが、マスクの有効性についての調査を発表して、それで騒いでいるらしいが、


上に書いたとおり、私はそれでもまだ眉唾である。マスクを全く忌避していた欧州にとって多少の意味がある発表なのだろうとは思うが。