イタリアは、北部の大部分を地域ごと「封鎖」してしまった。正確には移動の制限で、仕事や病院の行きかえり、生活必需品の買い物と言ったやむを得ないもの以外の移動を禁ずるということらしいが、これはこういうことだ。

 

イタリア人はお上の言うことをまともに聞かない。政府の決定が出る少し前も、ミラノでは、飲食店が集う地域が人でいっぱいだ、という写真が出回っている。

 

もちろん、真面目に静かにしている人もいるんだが、そういう人ばかりでない。ただ、「家でいてくれ」ということもしてくれない。

 

そこで政府は無理やり、こういう形で人々の移動を拘束した、と。

 

日本人はお上の言うことを聞きすぎて、自粛となったらそこまでする必要はないというところまでやる。移動の制限は、政府に言われなくても横ならびでやってしまった。マスクなんてほとんどの人にとって無駄だからやらんでいいのに、バカバカしいったらありゃしない。

 

ところがイタリア人は基本的には自分勝手な人たちなので、お上の言うことはあまり聞かない。

 

だから情報の中身も違っていて、イタリアでは新型ウィルスの感染力は強いと言いまわられている。

 

ところが、日本ではその逆で、今のところ感染力はそう強くないという話をよく目にする。公衆衛生が専門の医者が、満員電車でもマスクなしで乗っている、などと言っている記事がネットに出回るくらいなので、まるで話が違う。

 

これは理由が明らかで、日本人はお上に過剰に従うので、ちょっと緩いくらいの情報を流すくらいでちょうどよいのだろう。

 

他方でイタリア人はお上に従うどころか、逆に反抗する気満々なので、ちょっと強めに脅かすくらいのことで良いのだと思う。

 

こうして見比べていると、それぞれ人情や気質の違いが見て取れて、大変に興味深く思っている。

 

ちなみに、政府決定ののち、最終列車に乗り込んで南に帰ろうというパニック状態の人たちが駅に殺到した。たいていのイタリア人はこの様子に呆れているわけだが、私としては、さすがオペラブッファの国だ、あたかもモーツァルトのオペラの第二幕のフィナーレのような盛り上がりだと、非常に面白がっている。もっと騒いで欲しい。