久しぶりに英国人の数理疫学者と連絡をとった。

 

新型コロナウィルス絡みでちょいと評判になった論文を最近出した彼は、なぜ欧米がああいうことになったのか、説明してくれた。

 

アジア人にアウトブレイクはコントロールできないよというあなどり、対応の遅れ、マスク忌避、政府に従わないアホ等々。

 

ようはすでによく言われていることであって、私も、東京がイタリアやニューヨークになると叫ばれていた時に、前提となる状況が違いすぎる、ということは以前書いた。

 

日本は1月末から対応して、役所や保健所が頑張っていた。マスクも早い時期にほとんど義務的につけられていた。

 

いわゆる「三密」や8割の感染者は他人にうつさないことなどを見つけたのは日本のクラスター対策班の功績だと思うが、これらのことはそれこそ欧米では今ごろになって新聞で「発見」として報じられている始末であって、まるで日本と違う。

 

ただ、これらは重要な要素であっても全てではないはずで、尾身先生が言うような「国民の衛生意識」が日本で死者を抑制できた原因として本当に大きなものなのかどうか、私には納得がいかないし、ましてや「運がよかった」なんぞと専門家が言っているのを見るとさすがにそれはどうなのかと思う。

 

緊急事態宣言の前がピークだったというグラフは私にとってはある種、衝撃だった。というのも、イタリアを見ていると、ロックダウンしてからピークはまだかまだかという調子で、ピークを越えると「やっと!」という様子が感じられたため、日本で緊急事態宣言の前がピークだったのは肩透かしもいいところ、この落差は一体何なのかと思わざるを得ない。

 

なので、「緊急事態宣言に何の意味があったのか」という声が出てくるのはむしろ当然で、これにきちんと応える必要があるだろうし、やらないといけない。

 

ただし、日本の何が良かったのか、ちゃんと説明できる話を聞きたいのだけれども、いまのところ確たる話はどこにもなさそうだ。なので、研究者の人たちは大いに頑張って欲しいとしか言いようがない。