素朴な疑問としては

 

・イタリアでは12月末にすでに新型コロナウィルスの患者がいたという話がある。ましてや日本だと、ということだが、新型コロナウィルスなぞ一般的には1月末まで全く無警戒だったのに、どうして患者が爆発的に増えなかったのか。これはヨーロッパでも同じ。今頃になって爆発的に増えだす理由がなにか。

 

12月末から「変な風邪」が流行っているという話は聞いていて、今でも周囲の医療関係者は新型コロナウィルスのことを「変な風邪」と呼ぶ人もいる。

 

例の「屋形船」の話が1月18日で、その頃には十分流行していたんじゃないだろうか。

 

重症化して肺炎になって死んだ人たちはたぶん「肺炎」で死んだことになっているはずだ。変な肺炎だなーと思われても、死ぬのは年寄りや既往歴のある人なので、そこは医者もあまり突っ込まない。

 

1月の末まで、どうしていたんだろう?

 

・・・

 

不真面目な方の疑問はこうだ。

 

2月11日に行われた新型コロナウィルスに関するWHOの専門家会合で、封じ込めは相当に厳しいという認識が持たれていた。当時の段階で、アウトブレイクはもうコントロールできないと言った疫学の学者もいたくらいだ。

 

当然、各国政府はそれを知っていたはずだ。

 

ウィルスを過小評価していたと皆言うけれども、2月時点で武漢のようになると危ないウィルスだという認識は、少なくとも日本では持たれていたのではないかと思う。

 

私の想像はこうだった。WHOが封じ込めが不可能であることを公言できないのはパニック対策として理解できる、ただ各国の担当部署は当然知っていて、その上で対策をたてている、西側先進国はたぶんこの危機を乗り越えることが可能だろう(ただし、イギリスとアメリカは普通に感染者を見殺しにする)、と思っていたら、大陸欧州については外した。ドイツは今のところうまくやっているようだけれど。

 

もっと言えば、米国のパニック対策から逆算して考えられてやしないか、くらいは想像していた。あの人たちはそれくらいはやりかねない。なにせ、何をどうしたってもうアウトブレイクするのは2月半ば時点で知れてあることだったのだ。

 

アウトブレイクがコントロールできない、すでに地球上にウィルスが蔓延することを防げないという認識が2月11日から専門家筋には持たれていたのに(実際、そのころには今問題になっているイタリア北部では流行していたはずで、私のイタリアの友人も「風邪」になっている)、いったい今の現状は何なのだろうか。何をこんなに慌てまくっているのだろうか。

 

これが全く分からない。

 

・・・

 

ボリス・ジョンソンが「集団免疫」策で「あなたの大事な人が死にます」とはっきり言ったのは、あれは正直で良かったと私は思った。ああ、やっぱりなと。

 

ところが途中で方針転換した(ように見える)のは、さすがにジョンソンがかわいそうだ。モデルの計算に集中治療室のキャパを勘定に入れるのを忘れていましたとか、それは後付けの言い訳だろう、それはない。さすがにそれはない。

 

そうではなくて、要所要所にはすでに話を通してあって、その上でジョンソンはああ言ったのに(でないと、ああいう思い切った演説はさすがにできない)、英国内で日和った根性なしのバカが多数出てしまったので、一応方針転換の体裁をとった、ということなのだと思う。。。結局、やることは変わらないはずだ。無理なものは無理、死ぬ人は死ぬ。

 

アメリカはもっとひどい状態に違いなく、だいたい2009年の新型インフルエンザの時も先進国の中では成績が悪かった。

 

誰も悪人になりたくないから言わないだけで、アメリカの現状だとたくさん人が死ぬ。そして見殺しすることが問題だとは私は思わないし、そこを批判したくない。それはそれで一国の選択だと思う。

 

日本のようなやり方は死人は出にくいかもしれないが、コストも時間もすごくかかるはずだ。これにどこまで人々が付き合いきれるのかと思うが、それはそれで一つの選択だ。優れた医療制度と医師のレベルの高さにかなり依存しているはずで、私は日本の医者を、いろんな悪いことも私は知らないわけではないが、しかし一応は信頼している。

 

詳しいことは、数年後に知れるんだろう。これがどういうことだったのかを知るのが楽しみだ。