新型コロナウィルスが社会経済に大きな歴史的影響力を持つ、感染症が歴史を変えた云々、そういうのはもうやめましょう。

 

中世のペストだったら、そりゃ人口の3分の1も減ったからいろいろあるかもしれないが、先日もフランスの歴史学者

 

コレラ結核も、19世紀にフランスが経験した社会経済の大変動を止めることはなかった」

 

みたいなことを言っていて、そりゃそうだろうと。

 

いい加減なコンサルや、ホラ吹きの学者が好きそうな、そういうネタは大事じゃないですよ。どう考えても。

 

・・・

 

イタリアは新型コロナで今でも毎日数百人単位で死んでいます。昨日は474人でした。ちなみに、日本では毎日肺炎で400人くらい死んでいます。

 

それでも、イタリアは経済的に何とかしないといけないので、段階的な再開をする運びになっています。

 

日本の状況はそれよりもずっと良かったうえ、3月末から4月上旬がピークだったことがはっきりして、緊急事態宣言の影響がよく分からないことになっているわけだから、

 

経済的にどうするか、困っている人たちはもっと大きな声を上げた方が良いと思います。

 

つまり、仕事をさせろと言うんです。

 

補償は無理ですよ、そりゃ。日本政府にカネがないし、そのカネ、結局人数の少ない将来世代の肩にのしかかるんで、補償しろの連呼はおかしいと思いますよ。はっきり言って。

 

医学方面では補償と自粛のセットが当然だと言う人多いし、理屈はそりゃそうだと思うけれど、でも財源がないんだから。経済政策で失敗したら、医者や学者が責任とって借金返してくれるんですか?それで腹切って死なれても、カネは返って来ないから困るんだ。

 

いや、誤解しないでくださいよ。

 

感染症や公衆衛生学の専門家に経済のことが分からないのは当然で、そこまで期待する方が間違っています。

 

経済の問題を車輪のもう片方としてまともに検討しているように見えない、説明もしない政治家・政府の問題。

 

だから悪いのは政治家なんだけど、もっと悪いのは世論。

 

医学のロジックと、全く別のロジックがあって当たり前なんだから、政治家はいろんなロジックをちゃんと議論させて適当な処置を考えなきゃいけないのに、世論が「カネと命」という無茶苦茶な枠組みで問題を考えるからおかしいことになっている。

 

世論がきちんと後押ししないと、政治家が動かないですよ。

 

・・・

 

新型コロナウィルス対策の大きな部分はほとんど医療の資源配分の問題であることがもうはっきりしていて、その議論は医療の世界の中でやるべき問題。一般の人たちにはどう考えても関係がない。

 

関係がないけれども、時間稼ぎのためにここまで一般の人たちに大きすぎる犠牲を支払わせた、その犠牲を支払わせるために、無茶な脅迫までやった。そこまでは私も仕方がないと思う。

 

でも、この時間稼ぎの間、医療従事者たちは、資源配分について当面どうすればいいか、もうだいたい理解したはずでしょう?私はそう信じています。

 

政治にも、医療の側にも、不合理が多すぎる。合理性がなさすぎる。