Fire and Fury

Fire and Fury

トランプ政権1年間のゴシップの集大成として読めば面白い。ゴシップや裏話ばかりなので、ファクトの裏付けなどうるさいことを言えばいくらでも突っ込めるのだろうが、そこはそれ、日本の夕刊紙や週刊誌を読むのと変わらない。

内容についても、トランプ政権の追っかけ(支持・不支持を問わず)をしている人たちにとっては目新しい情報はないようだが、そこまでの関心もなく、エネルギーを割けない私のような人間にとっては便利な一冊で、かつアメリカのゴシップ誌らしい文体で書かれていて、英語のいろんな表現の勉強にもなる(わざわざ辞書を丁寧に引いて読むほどの本でもないけれど)。

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アメリカ政治なんて知らず野次馬根性で読んだだけなので、面白がって読んで終わりだが、それでも感想としては、描かれているトランプは単なるバカで、周囲にろくに人もいない、相当悲惨な状況だということで、それはきっとそうなんだろう。

ここで日本の鳩山由紀夫を思い出すが、日本の民主党政権や左派、リベラル派を嫌悪するのに乗じて、「トランプはやるじゃないか」と言いたがる人がいるのは、いかがなものかと思う。
現実にトランプが大統領であって、弾劾もすぐには困難で、あとは本人が飽きて放り投げるのを待つしかない状況だから、だからどうしようか、というのならともかく、どうしようもないのはどうしようもないと、とりあえず認めたらどうか。

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あと、真偽不明のゴシップや裏話の類は楽しいのでそれはよいとして、笑えないのは利益相反の問題。素直に、トランプ家の本業の経営状態と政治の関係を見ていったほうがいいし、そういう分析もすでにあるのだろう。

機会があればそういう本も読んでもいいけれども、今のところ食指は動かない。ただ、とんでもない時代だと呆れるばかり。