うっかりリフレ派の論者を見かけてしまい、次の記事を眺めた。

 

IMF最新レポートが教えてくれる、「日本の財政危機」というフェイク・ニュース | 世の中を見渡すニュースサイト New's vision(ニューズヴィジョン)

 

日本は言われるほど財政危機ではない。しかもアベノミクス採用以降は財政状況が劇的に改善している、というのが高橋氏をはじめとする我々リフレ派の主張である。

 

この主張を裏付ける日本だけではなく、世界各国の政府のバランスシートをIMFのスタッフが明らかにしたのである。これは重要なレポートだ。

 

 

 あれだけIMFを罵倒しておきながら何事かと、件のレポートを眺めてみた。

 

 

IMF Fiscal Monitor: Managing Public Wealth, October 2018

問題のグラフはチャプター1の最初に出てくるんだが、のっけから

Recognizing assets on the balance sheet does not negate the vulnerabilities associated with high public debt. Many assets are illiquid or not marketable and would not be available to meet rollover or deficit financing needs in the short term.

 

 

とあって、バランスシート上の資産を認識することは、高い公的債務と関連した脆弱性を否定するものではない、多くの資産は現金化できないからロールオーバーや返済には見合わない、そもそも資産を評価することにいろいろ不確定要素が多い云々、と続く。

 

要するに、上の記事のような語られ方にくぎを刺しているようにしか読めないわけで、これで「フェイクニュース」を云々されても困るのではないだろうか。

 

また、日本関係の新しいレポートを眺めてみたが、日本の公的債務が問題でないという認識を示しているようには、私には思われなかった。

 

こういうものを紹介するならもうちょっと精確であるべきだと私は思うが、リフレ派の論者はたいてい、海外の議論を都合の良い形でしか引いてこない。

 

もっとも、いつも書くように、私は経済学も知らないし、こんなレポートをじっくり読む以外のことを私はしたいので、とても全体に目を通せない。だから、細かいことはその手の専門家が語るべきだろうとは思うものの、それにしても、と言わざるを得ない。