ちょっとしっかりしてくれよ

これね、地下猫さんがまた理に落ちちゃったんだよ。言いたいことは分かるけど。
反社会カルトとしてのホメオパシー - 地下生活者の手遊び

いや、肝心のカルトに当てはめるところが安直すぎてずっこけた。だって、Wikipediaの基準をどう解釈するとか、どういう団体が想定されているとか、全部すっ飛ばしちゃってるんだもん。

とりあえず、Wikipediaで引用された基準ってなんだろうと思って、ざっと見てみたが、すごい議論が背景にありますよ。こんな議論、おっかけるつもりもないし、そんな物好きでもないからいいんだけど
セクト - Wikipedia
既存の宗教とカルト(セクト)との区別が大変だろうなあというのは想像にかたくない。フランス人らしいわ。こんな議論をぐちゃぐちゃやってるの。

で、フランスのカルト認定基準の話でググると、反創価学会の右派のサイトがゾロゾロでてきて困ったんだが、事実を確認するだけ、ざっと一読なら、このサイトでいいや。
http://page.freett.com/sokagakkai_komei/shukyou/cult_french.html

で、ここでカルト認定されてるのは、多分こういう団体のイメージじゃないかな。

カルトの活動が、崩壊末期に集団自殺することから、武装集団として反政府テロという破壊活動へと変化したことに触れている。こうしたカルトに共通するものは、教祖という権威主義のカリスマ(メシア主義)を受容していたこと、共同生活を行う比較的少数の集団であること、信者が比較的高学歴のインテリ層に属する人々が多かったこと、強烈な「終末論」を教義に持ち外部に敵対する被害妄想的な心情を持っていたことなどがあげられてる。

創価学会だから割り引いて読む必要はあるけど、1984年のEC議会決議もだいたいこういうイメージ。ようは、一般社会から信者を隔離して、共同生活したり、狂信者がテロって集団自殺するとか。そういう組織を想定してるみたい。


で、Wikipediaの基準はそれだけでなくて、さらに(B)から(C)へと条件があって、それに合致したときに調査目標とされると。微妙な問題なんですよね。


もひとついうと、この基準の元になってる資料が、フランス内務省総合情報局からでてるそうで、ってことは日本の公安ですな。フランスってこの種の内偵調査についてはちょっと変わってるような印象がある。。。よく知らないけど、たぶんこの基準を運用する時も内偵調査の情報から認定するんでないのかなとは思う。


いや、たかがブログだから、この種の議論をちゃんと追えとか、そんなことは言わない。でも、ホメオパシーの会をこの基準にあてはめようとするのはいかにも安直だってのは、これだけ見てもそうですわ。


それでももし、僕がホメオパシーはカルトだっていうなら、日本で一般的に理解されてるカルトの定義を使います。ちょうどWikipediaのカルトの項目に、その点について触れられてるし。フランスの基準は国際的な指針の一つなんだそうだけど、日本では創価学会はカルトじゃないでしょ?


結局、フランスの基準をもちだして権威と客観性をちらつかせながら、読み手は日本のカルトの文脈で理解しちゃうってわけ。たぶん、カルトって言葉、人それぞれ受け取り方が違っちゃってると思いますよ。この辺が毎度おなじみニセ科学批判の真骨頂なんですよねえ。


いや、これで類似点を具体的に挙げてるからいいんだと言ってるブコメの人たちは、いったいなんなのよと。ニセ科学批判とネット右翼の類似性については目をつむるのに、ホメオパシーならこうも簡単に乗っかりますか。


そもそも論になってしまうけど。ホメオパシーはカルトだって煽るより、学会なりお医者さんなりが地道に宣伝するしか手がないし、そういう方向に話を持っていった方がずっと建設的なはずなんだ。予防接種率の向上についても同じ。なのにそういう話にはならなくて、こういう形で煽ってひたすら自己正当化につとめるだけ。


だいたい、反セクト団体ってのがちゃんとあって活動して、その結果としてそういう議論が出たり、法律になったりしてるんでしょ? えらいじゃないですか。ニセ科学批判と全然違って、この人たち本気ですよね。良いか悪いかは置いといて、本気なだけましです。ちぃとは見習ったらどうですか、この人たちの本気さを。やるんだったらここまでやったらいいじゃないですか。


ホメオパシーを反社会的カルトと決めつける言説。 - 菅井良・日記
これは僕もどうかと思う部分があったし、ブコメの反応も理解できるところはあるけども、最後はそうだわ。

自分の思う通りにならない人々がいる時、それが少数者だからとあなどって、攻撃の対象とする。それがこの論者の心性だと感じる。それはおかしくないか。

だって、それがニセ科学批判なんだもの。