ネット○○派 part293 だから「科学を装ってるから問題だ」論は通用しない

某所でニセ科学批判の人が「科学を装ってるから問題だ」という議論で相も変わらず折伏してたので、また書いておきたい。

「科学を装ってるから問題だ」という建前は分かる。


しかし、現実にニセ科学批判は何をしてきたかというと、ゲーム脳は批判して脳トレはほぼスルー。ここでダブスタをやってしまっていた。どっちも科学を装っていて、脳トレにいたっては世界中で稼いでるのにこちらはスルー。


さらに、「科学を装ってるから問題」を強調しすぎると次のような問題が出てくる。


たとえば、ホメオパシーはダメで、漢方や鍼灸は許容できる理由は「東洋医学は科学を装ってない」からニセ科学ではないという議論は可能であると。では、ホメオパシーも科学を装わなくなったら許容できるんですか?という議論にならざるを得ないんだけど、今の様子を見ているとおそらくそれは認められないだろうと思う。では科学を装わない漢方や鍼灸は許容できて、(仮に)科学を装わなくなったホメオパシーは排撃する理由は何か。


・・・つまり、「科学を装ってるから問題だ」の「科学のラベル」論って、ことほど左様に無意味なんです。

ここでの問題は、以前も書いたけど、結局「ニセ科学」って何か全く分からないし、どういう基準でニセ科学批判が対象を選択しているのか全くはっきりしないということです。たとえば昨年のTBSラジオでの菊池先生の発言を再度引くと、
http://d.hatena.ne.jp/jura03/20100829/p2

ホメオパシーみたいな完全にはっきりしていて、物理科学的にもはっきり、あの、なんというの、効果はあるとすれば、プラシーボというのははっきりしていて、臨床的にははっきりしてる、プラシーボなんだ。そのくらいはっきりしているもの

は信頼できないと。ホメオパシー以外には、波動医学を例示してる。まあこれはいいですよ。その次が問題で、

まあある程度エビデンスがあるものとしてはたとえば漢方とかありますよね。

っていうけど、懐疑主義の立場をとるなら、「ある程度」のエビデンスでいいわけないでしょう?さらにさらに、

それからまあ鍼とか、(略)あれはたぶんでも日本では長く使われてるから、もっと調べてみる価値はきっとありますよね。

長く使われてるから調べてみる価値があるとかもう全く意味不明で、ドイツの調査でも「代替医療のトリック」のE.Ernstの調査でもプラセボだということになっているし、懐疑主義の立場としては鍼には批判的な態度をとるものだよということも書いた。
鍼もやっぱりプラセボなんかな? - 今日の雑談
「懐疑論者の事典」も鍼をメッタ切リ - 今日の雑談


日本学術会議副会長の唐木英明さんも「漢方薬は長い歴史の中で検証され、生き残ってきたのですから、科学といえるでしょう」と、菊池先生の鍼と同じこと言っていたらしくて唖然としてしまうんだが(http://d.hatena.ne.jp/jura03/20100831/p1)、ようするに。


ようするに、いくら専門はご立派でも、この程度の考えしか持たずにニセ科学批判やってるんですよね。。。orz


で、こういうことされると、「ニセ科学」って「ニセ科学批判が気にくわないもの、排撃に値すると認められるもの」以外に定義のしようがないんですよ。申し訳ないけど。はっきりした基準がない。


だから、「科学を装ってるのが問題」という建前は、本当にただの建前でしかなくて、そんなの信じてちゃいけませんと申し上げたくもなるわけです。