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経済学部出の人たちが、医者の権威主義や馴れ合いを揶揄しているのを見て、これも呆れた。
ネットリフレ派なんか、アメリカのノーベル賞受賞経済学者だとかアメリカの大学の教授だとか持ち出してご託宣を仰いでいたし、仲間内でも馴れ合いに徹していた。
医者の世界と経済学の人の世界も一緒じゃないか、何を言ってんのと。
もっとも、へぇと思っているのは、「有志の会」系の医者らが、経済学者を揶揄していたことで、あれはつまり、この3か月間、医学系と経済学系でまともなぶつかり合いを本当にやってなかったんだなと。
ダメでしょう、そら。
医者って自分の専門以外は本当にダメな人たちなので、全然別の世界をぶつけてやらないと現実に沿った政策ができるわけがないと、私なんかはそう思っていたんだけれど。
日本の受験制度としては医学部は偏差値が一番高いことになっているけど、実態は違うし、医者を育てる教育は頭の良い悪いとかと関係のないことをやっている。
医者はみな頭がいいものだと思う人が多いのかも知らんが、それはとんでもない間違いで、医者はバカでもなれる。
なので、医学系の言い分だけに頼ったことをやると、おかしくなるのは当たり前。
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今後のためにもいろいろ検証しておいた方がいいと思うんだが、なんか愚かしい反論を医者連中がしているのを見たら、さすがに呆れたな。十分頑張ったんだから、まずかったところを検証して今後に生かす作業は必要でしょうに。
あれは話の前提として、「有志の会」とかそのあたりの人たちと国って一蓮托生でしょう?緊急事態宣言に言われているほどの意味がないのかもしれないという議論を認めてしまうと、これは訴訟する人が出てきますよ。話が非常に面倒くさくなっちゃう。
その上で、まあいろいろあるんでしょうが。
医者が信頼できるのは専門だけで、そんなに頭の良い人じゃないことが多いってのは従前承知だったけどねぇ。。。
いやー、さすがに、この段階でこういう場面が出来するとは思わなかったな。これが撤退戦なのだとしたら、愚かしいよなー。
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リフレ派が気楽にリフレ、リフレと講釈しまわって、じゃあ経済学者は自分の言ってることに責任とれるのかって、本当に日本銀行に入れてみたら、吹くだけ吹いて、現実は言っていたようにならず、そのくせ誰もろくに責任をとらない、謝りもしないし、自分たちの間違いも認めなかったどころか、責任は他人になすりつけまくっていたということが、なにかと思い浮かぶ今日この頃。
もちろん、失敗を認めない政治がバカ、それは当たり前。だけど、リフレを首相にアドバイスしたり、実際に日銀のボードに入ったりした専門家たちの責任もやっぱりあるはずで、素人から批判されたくないわいといくら言われても、
「あんたがた、2年で物価をどうするって言ってたよね?!」
って、さすがに素人でもそれは言うわ。むしろ、言わなきゃいけない。
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おそらく政府は4月上旬、どんなに遅くとも中旬には実効再生産数がおおよそどうなっているか知っていたはずだと思うんだけれども。
つまり緊急事態宣言を正当化するために、私たちにわざとデータを見せず、梯子を外していたという話になってもおかしくない。そこが問題なんじゃないの?
もっとも、政府側にも言い分はあるはずで、
「いやいや、だって、あんたがた、緊急事態宣言を出せ出せとうるさかったじゃないか」
と言うに決まっている。国際世論もうるさかった。(私はイタリアが厳格なロックダウンを導入した理由の一つは、イタリア政府が外出制限をしてみたら、それが有効ではなくて人出かあるとイギリスメディアに突つかれたからではないかと疑っている)
ロックダウンに懐疑的だった私ですら、宣言発出はやむを得ないのかなと思ったくらいだったが、もし当時、数字を教えられていたらどう考えていたか分からない。もし、宣言発出時点で実効再生産数が1週間以上の間、1を割っていると公表されていれば、どうなったろう。
ましてや、データが出た後の緊急事態宣言の延長についてどういう意味があったのか、ちゃんと検討しよう、と言わないほうが嘘でしょう。
専門家や医者の界隈で「西浦先生が日本を救った」みたいな話をするのは今後のために決してよくない。ましてや、仲間内の論理で擁護するんだったら論外。専門家としての信頼を失ってしまう。
専門家たちに言って欲しいことはそういうことではない。
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専門家グループに考えて欲しいのは、どうして日本の自粛程度で緊急事態宣言を必要とせずピークを越してしまったのかということ。
3月中下旬の「緩み」による感染の拡大がそれほど目立ったものとは思えないし、当時懸念されたプロレス興行の影響も言われていたほどではなかった。
あれだけ叩かれたパチンコですら、やはり単なるスケープゴートでしかなかった疑いが濃厚で、こういう状況を放置していていいわけがない。次の流行で、叩きやすい対象を根拠なく叩くことを繰り返してはいけない。
何が良かったのか、どこに注意すればよいのか、もっとピンポイントで分かれば、随分対処が楽になるはずで、これまでの自粛のように大きな網でバサッとやるのは無駄な部分が多すぎる。それは誰の目にも明白だろう。
なので「新しい生活様式」なるものも意味が薄いように思われてならない。無駄な部分が多すぎるのだから、どこが無駄な対処でどこが有効だったかを、できるだけ検討してほしいし、そういう検討をしてるんでしょう。
専門家グループに今期待されることは、それ以外にないと思う。仲間内の擁護のしあいは、みっともないだけで、聞きたくない。
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西浦先生批判はおやめよ👶西浦先生は悪くない。矛先が専門家に向くようなことをした政治家が悪いのよ。政治家がしっかり諮問してそれを理解して自分の言葉で政策を話さないからこうなる。
— 峰 宗太郎 (@minesoh) 2020年5月20日
https://mobile.twitter.com/minesoh/status/1263167155702554625
よく分かる。基本的には同感。政治家の無責任は度が過ぎている。
ただ、西浦先生があれだけ前に出てきて批判されずに済むと言うのは、全く間違っているし、仲間内で擁護しているということであれば、はっきり言えば、
「いろいろ舐めとるだろう」
としか言いようがない。立派な専門家でありかつ実績を出したとしても、批判されるべき部分では批判される。当たり前。
「西浦批判はおやめよ」ではなくて、撤退のための作戦を誰かちゃんと考えてそれをやらないと、危ないんじゃないかな。
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これは正直その通りなのですが、西浦先生がすごすぎて、比較に足るようなモデリングをできる人がいないというのが本当のところです。そして誰よりも西浦先生ご本人が競合するデータを求めているという姿勢にこそ、どうしようもない最強の専門家感が出ちゃってますね😅 https://t.co/PvADymHGBG
— 手を洗う救急医Taka (@mph_for_doctors) 2020年5月19日
https://twitter.com/lullymiura/status/1262709799260651520
三浦瑠麗 Lully MIURA@lullymiura
多くの人に恐怖を植え付けた西浦さんのモデルの前提が日本の現実と異なるのではという件。
この国は複数のモデルを競争させられるだけの人材を育成してこなかった。専門家は正義感があり暴走しがちだ。だからこそ、政府やマスコミは少数の専門家の仮説だけに引きずられてはいけないと申し上げてきた。
https://twitter.com/mph_for_doctors/status/1262862566054821889
手を洗う救急医Taka@mph_for_doctors
これは正直その通りなのですが、西浦先生がすごすぎて、比較に足るようなモデリングをできる人がいないというのが本当のところです。そして誰よりも西浦先生ご本人が競合するデータを求めているという姿勢にこそ、どうしようもない最強の専門家感が出ちゃってますね
これ、たぶん笑いごとじゃなくて、西浦先生にどの程度政治に踏み込んでいる自覚があるかとか、そういう問題になると思う。今後の経済状況次第で「最強の専門家」が免罪符にならなくなる可能性は十分にある。
そりゃあ、政治家としての責任をいまだに取ろうとしない政治家たちが一番悪いに決まっているんだけれども、西浦先生の場合は目立ちすぎたのが良かったのか悪かったのか。
80%の感染者は他に感染させていないことや「三密」にまとめたことなど、もう十分に貢献したんだから、次回のパンデミックのために撤退戦を誰か考えてあげた方が良いし、実際そうしていないとおかしいね。でないと、本当に訴訟になって、収まりのつかないことになってしまいかねないんじゃないかな。。。心配。
そうなるくらいなら、二―ル・ファーガソンみたいにスキャンダルで一発退場のほうがまだましだという可能性もないわけではないよ。
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西浦先生の「42万人」、あれを脅迫だのなんだの言われてお気の毒、ってのを見たんだけど、うーん。。。
私の場合、西浦先生を責めるのは違うだろうと思うが、本人の意図としてはともかく、ごく一般的にはそのようにとらえられたうえで一層の行動変容が促されたはずで、そこまで否定するのはちょっとな。
ただ、私の周囲の医者に、2月から「英米は見殺しにする」「日本はそないならへん、なるわけがない」と断定的に言ってきた奴がいて、実際そうなったんだが、これをただの直感でたまたま当たっただけととればよいのか、そうでないのか、本人なりの理屈は聞いているけれど、私には判定できない。
理論的なモデルと、英米の医療と日本の医療の違いを知っている医者の直感との差を埋める説明が欲しい。
この種の説明が、いまだにまともになされていないことが大層不満だ。個人的な範囲では、次の波はもう騒がないことにしているなどという話を小耳にはさんでいるところで、一般的にはもうそれでいいけれど。
ちゃんとした説明がなされる日がやってくるのかなぁ。。。
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昨日、イタリアの夏のヴァカンスについて書いたが、一つ忘れていた。
イタリアは、今でも毎日百人単位で人が死んでいて、それでこういう話をしている。
それでも、この月曜日から移動の自由がかなり認められるようになり、6月からは観光客の受け入れをするようである。
日本より状況がはるかにひどくてこれ。
ヨーロッパだったら、新型ウィルスについて厳格なロックダウンの有効性を云々することは政治的にほぼ不可能だと思うが(それでもぼちぼち出てきている)、公に行われている議論や人々の思い込みが、どこかで現実と乖離しているのではという点を、真面目に検討した方が良いと思う。
以前からここに書いているが、医者や学者はその分野の専門家ではあっても、それ以外のことは違う。とくに社会の話が絡んでくると、ちょっと距離を置いた方が良いような気がしてならない。
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こんな記事が出ていたが。
一般に信じられている集団免疫理論はどこがおかしいのか免疫の宮坂先生に尋ねてみました(上)(木村正人) - 個人 - Yahoo!ニュース
私にはこの記事の議論が妥当かどうかを判断する能力がないけれど(西浦博先生も大筋で認めており、建設的な議論が進みそうだ)、英語などの外国語でニュースを追っかけているとそらバランスを崩すわなと。
というのも、私はイタリアの報道くらいしかざっくり見ていないが、たいてい、集団免疫は無理です、で終わってしまっていて、自然免疫と獲得免疫がどうの、なんて議論は一般的にはあまり見かけない。
新型コロナウィルスに限って言えば、欧米の報道はいったいどうなんだろうかという疑問がどうにも離れない。目の前の状況で精一杯という事情はあるにしても、今回に関してはメディアを担う記者や一般の読者の教育レベル、知識水準や、偏見の問題があまりにも大きかったのではないかと、私は非常に疑っている。
なんと言えばいいか、ヨーロッパにしろアメリカにしろ、一番醜悪な部分がメディアを通して感得できてしまうことが多かったような印象を持っている。
日本の場合、例えば「なんで日本は(あるいはアジアは)欧米と比べてこんなに死者が少ないの?」という疑問が切実になるくらい、余裕のある視野を持てるのは大きな利点で、海外メディアに依存したまま日本を見ていると大きく間違えそうである。
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やばい。
— 弁護士 吉峯耕平(「カンママル」撲滅委員会) (@kyoshimine) 2020年5月15日
欧米の多くはロックダウンに耐えられなくなってきてる。そうすると、もう集団免疫ルート(成立するとは言ってない)しかないかな……。
一度再拡大すると、次はさらに難易度があがるから。 https://t.co/OlXFXs2aag
https://twitter.com/kyoshimine/status/1261313641258774528
弁護士 吉峯耕平(「カンママル」撲滅委員会)@kyoshimine
やばい。欧米の多くはロックダウンに耐えられなくなってきてる。そうすると、もう集団免疫ルート(成立するとは言ってない)しかないかな……。
一度再拡大すると、次はさらに難易度があがるから。
イタリアの場合、4月ごろには「今年の夏休みはないものと思え」みたいな感じだった。だんだん話が転換していって、今はこういうことになっている。絵を見た方が早い。
本当にこういうことになるのかどうか知らないが、こんな「対策」に何の意味があるのか、私にはさっぱり理解できない。ただ、そこまでしてでもヴァカンスで海に行きたいらしい。
ロックダウンに耐えられなくなっていてやばい、というのは理屈はそうでも、現実には到底無理だ、ということをよく表していると思う。現実を理屈に合わせるほうが無茶だろう。
それでどうなるか。
2月段階で「アメリカとイギリスは見殺しにしてぎょうさん死ぬに決まっとるがな」とのたもうた医者の知人は、次の流行までにイタリアは医療体制の準備ができなくて、再び年寄りの大量殺戮があるんじゃないか、と言っている。もちろん、そうならないほうがいいに決まっているんだが。
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恋人は常に日本人だというあるイタリア人がいる。彼女に会いたくてうっかり3月頭に東京にやって来てしまい、そのまま居続け。こないだやっとイタリアに帰れたんだが、その彼は、こういう時期なので日本とイタリアの生活実態の違いに非常に興味を持っていて、日本にいたく感心していた。日本の病院にもこれまでに何回か行ってイタリアの病院との違いを観察しており、日本の医療制度も外国人にしてはよく知っている。
日本経済を心配した彼は、3月中旬から下旬の東京の人出を見て、
「このままでは、国際世論の圧力で日本が無理なロックダウンをさせられてしまう」
という、一見変な心配の仕方をしていた。
日本人でこんなこと言っていた人、いたのかな。政府にはいたんでしょうが。
でも、彼の心配は正しかった。
欧州人でも、平らに自分たちの生活と日本の生活とを比べたら、こういう発想が自然に出てくるわけだ。