布マスク各戸二枚配布、という話の評判が悪い。

私も呆れるわけだが、ただし、一般用としては「どうしても人込みで着用したいときは布製マスク」とは高山義浩先生も指摘のところであって、マスクに過度にこだわる必要は現在のところはなさそうだ。

となると、首相は悪くないとか、日本のメディアは宿痾、とかいう話になるんだが、そうではないと思う。

日本はクラスター対策でなんとかしようとしていて、一定の成果があるわけだけれども、どう見ても一般人に理解してもらおうという広報が欠けていた。

それは、専門家会議やクラスター対策班の問題というよりも、明らかに政治の問題で、日本はコレコレこういうことをやっていると、どうして政治家が表に立って説明しないのか。

ごくごく単純な話、イタリア人が「日本はなにもしていない、オリンピックのためにごまかしている」と言い出したとき、私がクラスター対策について説明したっていいし、実際厚生労働省の英語のパンフレットも見せて回ったりしたわけだが、ハッキリ言って、単なる一個人の私が日本政府に代わってそこまでやってやる義理なぞどこにもないうえ、イタリア人の疑問にまともに答える私のような日本人はごく少なく、むしろ彼らの言う通りと納得してしまう日本人の方が大多数だ。こんなことでいいわけがない。

つまり、政治は何をしているのかという問題。

布マスクの話も同じだ。

説明しようという意志が政治サイドにまるっきり欠けていて、全部専門家会議に丸投げしているように見えるが、専門家会議の日本語なんぞ一般人に届かないのがむしろ当たり前だろう。

政治家に今、必要なのは強力なリーダーシップではなくて、ちゃんと国民に説明する言語能力だ。