自民党―「一強」の実像 (中公新書)

自民党―「一強」の実像 (中公新書)

同書を読むと、自民党が地方組織を固めるために努力してきた過程が書かれてあって、私のような、地方に住む人間には非常に興味深かった。地方議会の議員を含め、組織の面で見れば、自民党が他党を圧倒している。野党時代の自民党はまず地方組織を立て直すところから始めた。

ただ、今の安倍自民党全体主義臭さ・ファシズムっぽさの淵源がこのあたりにもあるのかなという気はしている。

地方にいると、圧倒的に自民党が優位なのは日ごろ感じるところであり、そもそも「リベラル」な物言いそれ自体がはばかられるような空気もある。私は左派ではないつもりだが、それでも息苦しい感じを持つこともあるのであって、これで政治的に左派の人はもっと大変だろうと思う。

そこに、安倍自民党が右派理念を宣伝すると、その宣伝に多くの支持者が引きずられてしまう。実際、私のネット・ウォッチの狭い範囲だけでも、安倍が志向する安易な左派叩き、右派理念に引きずられる人が増えてしまっているわけで、リアルに政治の世界と接触している人たちや利害関係者だとどうなってしまっているのか、という気が多分にする。

しかも、公明党との選挙協力で自公体制はがっちり守られてしまっており、これに対抗する側はもう弱すぎて話にならず、なんとなく全体が右派理念に染まってしまう形になっている。だからファシズムっぽくなってしまうのではないか。

こういう面からも、右派・左派の理念の整理、理念から導き出される具体的な政策の整理、政党の整理の必要性を感じた。