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少し前の記事だけれど。
池田信夫 blog : 「真水で10兆円」の大型補正がやってくる
国会は5500万円の「桜を見る会」で大騒ぎだが、 年末に出る今年度の補正予算では真水で10兆円という数字が取り沙汰されている。
確かに、「桜を見る会」は国家予算としてはたった数千万の話でつまらないには違いない。
しかし、そのつまらない話について、実にしょーもない嘘を首相自ら連発し倒すうえ、公文書を廃棄したと平気でのたまってくるのはどういうことなのか。
たった数千万ぽっきりでこういうザマの内閣が、どうして10兆円の予算についてまともに説明できると考えることができるのか。
しかも、しょーもない嘘の連発や公文書の廃棄は今回が初めてではなく、森友問題では首相の尻拭いのために人が死んでいる。
なんで何十兆円の予算を適切に配分して、説明する能力がある内閣だと判断できるのかが、私には全く分からない。
ここに尽きる。
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日本の現首相自身の問題はあるけれども、その背景に日本人の根っこの問題が見え隠れするので、たぶんそれに反応していろいろ書きたくなるのだろう。
以前、アベノミクスとインサイダーの関係があるんじゃないかという駄法螺を書いた。今でもそれは大いに疑っている。
https://jura03.hatenadiary.jp/entry/20170319/p1
インサイダーかどうかはさておくとしても、意図的な株価のつり上げや円安で資産を増やした面々は確実にいる。それは政治家だったり、ネットやメディアであれこれ言っている人だったり、あるいは「その筋」の人もいるだろう。「普通の人」たちもそうで、文句を言うなら株を買っとけなどとうそぶく人もいた。
「アベノミクス」の受益者たちが、内閣の支持者となって揺るがない。
もちろん、それはそういうもので、それが政治と言われたらそれまで。
ただ、こういった人たちが欲に駆られて、内閣がどんなに無茶苦茶をやっても反対しない、できない構造になってしまっているのが大いに問題で、それはつまり、カネに転ぶバカが多すぎる、ということに尽きている。
ここで、日本の庶民の、欲深いにもほどがある恥知らずな浅ましさと大いにつながってくるのであって、安倍政権最長記録の根本原因はこれだろうと個人的には思っている。
だから、いまの内閣が公文書の廃棄やつまらない嘘の連発をいくらやっても、株でもうけさせてもらったからとか、内閣が変わって株価が下がると損だからというだけで、いくらでも是認してしまう。買収されている反省がない。
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もちろん、前回も書いたように、人間は欲と色で出来ている、浅ましさも人間の本性と主張することは大いに可能で、それはそれで一つの達観だ。
ただ、私はそれだけでは人間は人間らしく生きられないだろうし、別の行動原理を持っておくべきだと考えている。
そういう発想にならないところ、人間どうせカネだろ、で全部片付けて平然としていそうな政治状況が、今の日本人をよく象徴していて、そこを直視してまともに考えない限り、安倍さん一人をどうこう言ったところで(無論、どうこう言わねばならないことが多すぎるわけだが)どうにもならないだろうとも思う。
それに、この浅ましさは、右も左も関係ない、どいつもこいつも、だし。
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桜を見る会に行った安倍晋三後援会の人たちが、無料のお土産を袋にぱんぱんに詰めて、それを二袋も持って帰ったりしていた、という話を読んで、浅ましさに吐きそうになったが、それはなにも山口の選挙民に限らない。
以前、駅の待合室にあったテレビでたまたま見たのだが、ある市場では特売のイカか何かが名物で、それが売り出されるやいなや、2分で売り切れになる、という。販売時間に向けて行列ができ、よーいどん!で販売が始まるや、血相を変えた人々によるパックの取り合い合戦になる。
どれだけ美味しいか知らないが、たかがイカだ。たかがイカでこの人たちはバカではないかと思ったものだ。
あるいはこういうこともあった。
あるホテルのバイキングを食べていた。そのバイキングは結構うまいので、たまに行く。その時の目玉はカニの食べ放題だった。食べ放題のカニだから大したものではないと思うのだが、他に美味しいものはいくらでもあるのに、カニをあさる人々でそのコーナーはいっぱいで、山盛りの、食べきれないのではないかという量のカニを皿にもって、自分たちのテーブルでむしゃぶりついている人たちを見て、この人たちは本当にバカなのだろうと思った。繰り返すが、カニと言っても、たかが食べ放題のカニだ。一つ二つ食べたら、それで十分だとは思わないのだろうか。
結局、戦後何十年もたって、先進国として経済的にも十分に豊かでありながら、人々のこの根性の浅ましさだけはどうにもならなかった。
もちろん、人間というのは所詮、そういうものであって、色と欲で生きるものだという達観の仕方は可能だけれども、しかし「欲」と言うほど上等なものとは私には到底思えない。単に浅ましいだけだ。
無論、その浅ましさこそ人間の本性だと主張することも可能だ。
しかし、私は本性だといって開き直っていては人間ではないだろうと思っている。それに対抗する行動原理があって、初めて人間らしく生きられるのだろう。
でも、この浅ましさを是認して反省しないどころか、いろんな言い訳をつけて開き直っている人の方が大多数なわけでしょう?
さらに、こういう浅ましいだけの人たちが同時に有権者であって、こういう人たちに一票を投じてもらわないと議員になれない。
そういう絶望を日々感じている。私としては、俄然、我が道を行くしかないと思い諦めているのだけれど。
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桜を見る会 安倍首相の元秘書・下関市長はこう答えた…定例記者会見・一問一答 - 毎日新聞
安倍さんの秘書をやっていた下関市長の見識が話にならないわけだけれども、私が住んでいる街も、衆議院議員の庇護下にある市長が続いており、身につまされる。
現市長本人は行政経験はなく、父親が政治家であり、物事のけじめをつける感覚がわからないまま市長になっている可能性があって、下関の市長のことを全く笑えない。
たとえば、現市長を後継指名した前市長は、半年ほど前の選挙でも、二人で公用車に乗って講演会の場所に移動する、講演会でも市役所がセッティングしたものを選挙用に利用する等といった話を聞いている。私の耳に入ってくるということは、こういったことを隠す気もないし、周囲も結局是認してしまっているということだろう。
多少なりともごまかそうとした首相サイドはまだましかもしれないというのはこういうことで、境目がもう分からなくなってしまっている人の方が普通なのかもしれないと、私の街の様子を見ていると強く思う。
そうは言っても、お友だちだからというだけで、露骨に便宜を図ったり、女性をレイプしても逮捕されなかったり、などということを是認する首相も有権者も許されるものではないわけだが、現実には許容されてしまっている以上、お前ら全員クソだとののしる以外に手がなさそうに思っている。
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桜を見る会と前夜祭の一件は、やはり森友・加計の話を思い出す。
特に森友は、露骨に首相支持をアピールすると、問答無用で安倍さんの周辺が称賛していたわけで、その見返りに便宜供与があった。仮に金銭が政治家サイドに渡ってないにしても、支持それ自体に対する見返りとして便宜を図っていた。
もちろん、森友のような世界のいつものパターンであれば、ふっつーは首相が出てくるような話でもないはずなのに、たまたまアピール対象が首相だったものだから、構造がはっきり浮かび上がってしまっていた。財務省のチョンボ、みたいな話でも、ひどい土地を頑張ってよく処分してくれた、みたいな話でもない。
単に、熱烈支持者に対する見返りだ。もっとも、ことが露見したらこの熱烈支持者をものの見事に切り捨てたわけだけれども。
基本的には今回も同じで、支持者に対する見返りとして、税金を使って饗応するわ、一流ホテルを格安で使って接待するわ、桜を見る会では特別待遇にするわ、という極めて安直な形をとっている。
この支持者に対する見返りの安直さと、それがばれた時のごまかし方は全く同じだ。あるはずの書類はないことにする、証言は潰す、今回の場合はブログ記事を一斉に削除させているし、無理でも何でも無茶な理屈をつけて開き直ってしまう。
その結果、どういうことになっているかというと、明らかに日本の民主主義を破壊している。
首相という立場なり職掌なり、私は政治家でもないし研究家でもないのでよく分からないが、ある党派の代表というだけではない、一国全体の利益を考えなければならないはずだ。
そういう反省が、政治家サイドはもちろんのこと、大部分の有権者にもおそらくないことが、一番つらい現実だと思う。
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首相が困ったら、書類は廃棄しましただの、紛失しましただので話を通してしまう日本はなんなのかと思う。
トップが腐っているのはまだよい。トップというのはたいてい腐る。
しかし、この世に正直者がここまでいないというのは、どう考えてもおかしい。誰か一人、正直な人がいれば、それで話はすむはずだ。それがない。
ようするに、日本にはただ一人の正直な人間すらいない、全部が腐りきっているとしかいいようがない。
全部が腐っているから政治家が腐っているだけで、政治家だけが腐っているのではない。
どんな言い訳も聞きたくない。現実がすべて証明している。
美しい日本、万歳だ。