数理モデルがそもそもおかしいという議論を見ると、好きだった高校数学なんぞはるか昔に忘却の彼方へと消えていった私になんぞ何も言えないわけだが、それでもさすがにこれは変だと思ったことはある。

 

それは横浜市大の佐藤彰洋先生のシミュレーションで、私も一時期はよく見ていた。

 

ただ、これはさすがにと思ったのは、例えばこういう発言。3月31日の記事。

新型コロナ感染症:一刻も早い強力な「接触規制」を~データサイエンスの専門家が警鐘(石田雅彦) - 個人 - Yahoo!ニュース

特に、1000万人程度では、ある瞬間にその分野に携わる人間が瞬く間にいなくなるような過酷事象が起きますから、電力インフラにそれが起こりますと、発送電設備の運転が不能に陥る危険性があるのです。原発はもちろん、水道、ガス、通信、公共交通など、現在社会のほぼ全ての産業セクターおよび日常生活は電気に依存しているため、電力インフラが停止することで、ほぼ全ての社会活動が完全に停止する状態となる。最終的に、病院での治療も不可能となりますし、日常生活のさまざまなところで停止が生じる。特に、家庭内の調理器具、物流や小売りが長期間にわたり停止するため、飢え死などの関連死する人も大量に発生するかもしれません

もちろん、現実にはこういうことにはならず、だから私も今書けるわけだけれども、佐藤先生のサイトでこの種の発言を読んだときに、さすがに変だと思った。

 

というのも、あれだけ死者が出ているイタリアで、インフラに支障が出て、電気ガス水道が止まった、という話を聞かなかったからだ。

 

リスクとしてそういう事態が想定できるというのは理解できる。しかし、もともとインフラが怪しそうなイタリアですらそうなってないのに、なんで日本でそういうことが発生すると言えるのかが、私には理解できなかった。それでこの先生はなんか変だと思ったことはある。

 

最近になって、先生のモデルはやや過剰に出るらしいということを知って、そうだろうなあということになったんだが、

 

いくら理論的数学的にはそうなるということでも、現実はそうなってないんだから、そこで変だと考えないんだろうか、

 

という感想はどうしても抱く。

 

・・・

 

笑い話。

 

去年、東京に住んでいるイタリア人の友人と会った。日本が大好きで、日本語が堪能。読み書きができるんだから立派なもので、先月首相の会見で質問していた、いい加減なイタリア人ジャーナリストの日本語と大違い。趣味が高じて日本のテレビにも出たことがあるらしい。

 

なのにこんなことになってしまい、東京で一人暮らしをしている彼は、きっと不安な思いをしているだろう、当然他の日本在住イタリア人も不安だろうと考え、イタリア語で日本は何をしているか、某所に随分書いた。

 

9年前の原発事故のときもそうだけど、日本政府は本当に広報が下手だと改めて痛感させられた。なんで自分が政府の代理人みたいなことを無償でやらねばならないの。

 

しかも結局、なんでもスキャンダラスにして不安を煽るような人の情報のほうが広く流通する。なにせ英語でもイタリア語でもそういう話の方が出てくるし、肝心の日本人がそれに調子を合わせているわけで、まあどうにもならない。

 

さすがに、日本にある某イタリア文化センターが、3月下旬かなあ、SNSでCNNを引いて「日本人も慌ててきた」みたいなことを書いた時はぶちぎれた。日本に住むイタリア人のために、正確な情報を出すのがあんたたちの仕事じゃないのか、なのにCNNを引いてなにを満足してんだ、それを私が批判すると「ソースを出せ」と来る、CNNがソースなの?バカじゃないの?云々。

 

だから、イタリア語で現在の日本を書くのもアホくさくなって中途でやめてしまった。

 

ま、それでも、東京で一人暮らしの、例のイタリア人の知人には直接メッセージで「大丈夫?」と折を見ては声をかけていた。東京で一人でいるの、不安に違いなかろうに、かわいそうに。。。

 

そしたら!

 

つい先日分かったことには、実は彼は2月にローマに帰国しており、両親といることが判明。私の心配は全くの無駄だった。呵呵。

 

しかし、緊急事態の際には、政府は英語でもっと情報発信するべきですよ。もう本当に偏見がひどいから。