無知がものの役に立ったためしはない: hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

細かいところまで勉強せよとは言わない。しかし、公的年金とはそもそも如何なるものであるか、そして公的年金制度において「年金返せ」なるスローガンが如何なる、どちら向きのベクトルを持った台詞であるかという、基礎の基礎のそのまた基礎に当たるようなことを全く理解しないほどの不勉強な、方向性を全く間違えた「怒り」なるものを、それが無知な大衆の怒りであるという理由で賞賛するような議論は、良く言って愚かの極みであり、悪く言えば利敵行為以外の何物でもないでしょう。

 

世界的にポピュリズムの問題が議論されているけれども、この点、日本のポピュリズムはもっと反省されてしかるべきだと私は思う。

 

これは右も左も関係なく、一般大衆は勉強しなくても、怒りを感じたら意見表明しろというのは、単に大衆をそのまま是認して甘やかせるだけの、ポピュリズムそのものだ。

 

専門家や政治家の役割は、大衆の直感をできるだけ正しい方向に導くことにあるはずであって、詳しいことはあいつらに任せて、ということにはなり得ない。だからこそ、専門家や政治家の責任というものが生まれてくるはずだ。

 

ところが、日本では、選挙前になると必ず、高齢者にばらまくことを検討するというニュースが出てくるのに、これがろくに批判されない程度に言語空間が歪んでしまっており、これも高齢化社会のなかのポピュリズムだろう。

 

私に言わせれば、ヨーロッパやアメリカよりずっと洗練された形で、日本のポピュリズムは先を進んでいるのだ、くらいは言いたくなる。

 

こういったもろもろの状況は、もっと批判されてしかるべきだと思うのだが・・・