大石英司の避難空港 (2018年12月31日発行) | 大石英司の避難空港 - メルマ!

 

その一方で、ネトウヨと戦っている左派の人々が、誰かが書いた右への攻撃(よく言えば批判)のテキストを使い回して一斉にフォローし合う状況を危惧しています。たとえば、百田氏のパクリを暴くTweetが現れると、
一斉にそれをみんなで回覧する。同じことは右もやっています。たとえば蓮舫や辻元が失言すると、みんなで一斉にそれを回覧して笑いものにする。そこに中庸が入り込む余地は無い。そうやってネットの中は、左右の両極端に分断されていく。Twitter は、言葉の兵器として究極に進化し、他者を攻撃するために最適化されたツールです。

 

だからそこで左派と右派のやっていることが同じになってしまう。まず、左派はこの問題にもっと自覚的になるべきだと思う。身内のなかで納得しているだけで、それで終わるからだ。かつ、過激化に拍車をかけるだけだ。

 

同じことをやっている右派にも当然同様のことが言えるわけだけれども、この種の左派と距離をおき、時に冷笑しながら、どうにもしようがない右翼を支持する形になっていることが少なくないのが、大いに問題だ。今はこういう時代だから、左翼を冷笑する「右翼」が目立つが、時代が変われば右翼を冷笑する「左翼」が目立つだろう。この点ももっと考えられた方が良い。

 

つまり、ネットで見られる過激化した右派・左派の議論とは違う、別の議論がないといけない。

 

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ネットにおける議論の過激化は、2ちゃんねるなどの掲示板時代からあった現象であることは間違いない。私が取り上げてきた、ニセ科学批判やリフレ派が、SNSを利用しなくても十分に過激化していたし、少なくとも現在のSNSによる過激化の下地にもなっている。

 

その上で、SNSにしろフェイスブックにしろ、また今後出てくるであろうものにすべて言えると思うが、使い方をよほどよく考える必要がある。

 

個人的には、ネットを利用することで自分で自分を洗脳している側面について、その危険性を理解しなければならないのではないかと思っている。

 

それが分かっている人はともかく、分かっていない人の方が大多数であるうえ、見回してみるとインテリそうな人間でもこの罠にはまっている例が少なくない。

 

それだったら、いっそのことネットと完全に隔離した環境にいたほうが、少なくとも精神的にはよほど健全だ。肉体的にもそのほうがいいだろう。

 

ざっくりと言い換えると、たとえばtwitterで言えば、「悪いのはtwitterではないが、ほとんどの人間はtwitterを使えるほど賢くないらしいから、もうtwitterが悪いことにしておいた方が、人間、もっと健全に生きられるのかもしれない」となる。

 

ロシアによる情報操作の問題は、ネットのこういう問題点を悪用してなされていると考えたほうがよいのであって、その意味ではロシア云々は問題の枝葉末節と言えるのかもしれず、かつ同じことはどこの国でもやられているはずだ。

 

人権擁護法案反対運動でのネットを利用した動員も小規模ながら結局同じことであって、ロシアによる情報操作はその規模が非常に大きくなったものにすぎない。

 

この問題をこれ以上、私が考えることは不可能なので、誰か賢い人がもっと考えてほしい。そのうえで、適切な仕組みや対処を真面目に考えるべき段階になっていると、私は思う。