リッカルド・ムーティラヴェンナで恒例のオペラ・アカデミーをやっているが、その写真がこれ。

 

「高齢者の重症化リスクがー」

 

に対する痛烈なアンチで、どんな説明よりも明瞭。

 

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見ての通り、マスクはなし、通常よりスペースをとっているのかもしれないが、これでは三密回避もへったくれもないだろう。

 

しかし、これがリスク評価として一番まともで正しい。

 

ちなみに、マエストロは医者の息子。冬場にインフルエンザになりやすいんだそうだ。

 

 

 

こんなのがちょっとした話題になったらしい。 

 

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アメリカのDr.Fauciが始球式に臨んだ後に観戦している風景だが、マスクを外している。

 

私はファウチのこんな行動をとやかく言う趣味はないし、むしろ外すべきだとすら思うくらいだが、しかし言い訳がふるっている。

 

飲み物をちょっと飲むため、はまだいいとして、「前日検査したら陰性だった」という言い訳は、こりゃあさすがにないだろう。

 

良くないと思うのは2枚目で、奥さんが完全にマスクを外してリラックスしている。繰り返すが、私はそれが当然だと思うけれども、さすがにあれだけマスクは重要な武器だと明言してきておいて、それはなんだという話になって当然だ。

 

「前日テストしたら陰性だからいいと思った」という言い訳を解釈するについて、可能性は二つある。

 

1 ファウチは本格的にバカである。

 

2 ファウチはそもそもマスクの効果がそれほどないのは重々承知で、単に人々に一定の警戒を与えるためのツールとしてマスクを利用しているに過ぎないことをよく知っている。

 

私は2の方だと思うが、それにしても、「マスクの効果を立証する調査が次々あるんですよ!!!!」と言い出して信じ込んでいるアメリカ人の頑迷さにはほとほと。

 

つまり、ファウチは、一般のアメリカ人の知性レベルがその程度であることを見切っているわけで、結論としては、マスクするしないを政治化してしまったアメリカ人(今ややこの愚行はアメリカだけにとどまらないのだが)は本当にバカだ、ということに尽きる。

イタリアの医者が「トラから山猫になった」という言い方をしているわけだが。

Coronavirus has downgraded from 'tiger to wild cat' and could die out without vaccine

 

えらい目にあったミラノの大学病院の集中治療のトップが、「室内ではマスクをつけて、あとは銀行でもレストランでも行け、外に出ろ、社会が動かんといかんぞ」と言い出した。

Alberto Zangrillo sbotta in tv: «Riprendete a vivere, io dico quello che vedo e ne ho le palle piene» - Video - Open

 

ただし、私はマスクについてはまだ留保している。

 

また、英国のボリス・ジョンソンが、イングランド銀行の総裁ともども、職場に行って仕事をしてくれと言っている。ロンドン市中のレストランや商店などが成り立たないので、公共交通機関を使って街に来て欲しい、ということのようだ。

Boris Johnson to urge country to return to work as Bank Governor warns of long-term recession threat

 

さて、日本はどうするの?というところ。

英国のボリス・ジョンソンが、「ロックダウンは核抑止みたいなもの」と言い出した。

 

つまり、実質的にロックダウンの間違いを認めた格好になっており(核兵器は本来使っちゃいけないんだから)、今後は欧米とも部分的な封鎖はあるのかもしれないが、3月以降行われたような全面封鎖はおそらく二度とやらないと思う。

 

スウェーデン・スタイルの対策から、あまりにも副作用が強烈だったロックダウンへの愚かな急展開をした英国がこういうことを言い出しているのは歓迎すべきことで、そこを日本人はよくよく承知しておくべきだ。

 

国境封鎖して、移動の制限をした欧州各国ではファシズムの危機など叫ばれてないではないかという話を見た。

 

これは大変に微妙で、私は追っていないので何も言えないが、現実にはかなりセンシティブな問題のはずだ。「公共の福祉」一本だけでいけるのかどうか、また気が向いたらあちらさんの議論を見てみたいと思っているが、私にはその余裕はない。

 

ただ、イタリアの場合は、今の首相が法律家であり、EU諸国の首脳からも信頼されていて、そういう人物なので許された部分がかなりある一方、法律家からの批判も存在する、ということはここに明記しておく。

 

欧州内でも、無批判にこれまでの処置がなされてきたわけでは決してなさそうだ。

 

・・・

 

私は、ロックダウンは現在の目から見て明らかに過剰な処置だったと思うし、当時の判断としては仕方がなかったのかなとは思うものの、民主主義国がここまでやるとはだれも想像していなかったはずだ。

 

ロックダウンをした経緯については、後々まとめたものを読んでみたいし、いろんな要素があって一口に言えない。ただ、一つだけ気になっているのは中国の影響。

 

イタリアと中国の関係についてはかなり密接であることは周知のところで、3月のアウトブレイク後、中国が積極的な「援助外交」を展開して、医師の派遣やマスクなどの物資の援助を行っていたことは記憶に新しい。

 

一時的に中国の積極的なイメージ戦略は成功して、「EUよりも頼りになる」ことにすらなっていた。

 

さらに、イタリアに来た中国人の医師が記者会見を行い、イタリアの措置のここがいけないという説教をした。

 

「まだ人通りが多すぎる!」

 

という類いのことを記者会見で言う。私は異常な光景だと思って呆れた。

 

たとえていうなら、中国人医師が東京にやってきて、記者会見を開き、会見場の真ん中に中国人医師が鎮座して、

 

「銀座の人出がまだ多すぎる!」

 

というのを、隣で小池百合子東京都知事が黙って聞いている。日本に置き換えるととても信じられないし想像できないが、そういうことまでイタリアはやった。

 

はっきり、異常だ。

 

ロックダウン導入に際して、中国の影響がどの程度あったのか、これはじっくり検証してほしいと思う。

 

何度も書くが、ごく最近でも「中国の真似をしろ」というイタリア人の医師がメディアで発言しており、これも私には呆れることだった。

 

・・・

 

私はまた、マスク着用義務についても中国の影響を、これは軽ーく疑っている。

 

最近になって欧米が一斉にマスク教徒になっており、そのきっかけとなる英語の論文もあることは承知しているが、中国人医師の説教の中に「マスクが一番重要だ」と言うものがあったことを記憶している。面倒なので検索しないけれど。

 

・・・

 

念の為。私は新型コロナウィルスが中国による人工ウィルスだという説を支持するものではない。

 

ただし、新型ウィルスによって引き起こされたパニックから、最大限の利益を得ようとしているのが中国であり、それに今のところ勝利している、ようにしか見えない。

 

私たちは民主主義国家に住んでいる。中国と同じことはできないし、基本的人権の制限には極めて慎重でなければならない。

 

その意味で、私権の制限に大変に慎重だった安倍さんは、あんまり褒めたくないけれど、ここは認めざるを得ない。

 

他方で、コストとベネフィットを天秤にかけられなかったイタリア政府と、それに追随した欧州各国政府の対応についてはいろいろな検証が必要だ。

 

後年の検証を待ちたい。

Why coronavirus deaths remain low in the US despite surge in new cases

 

Half of the 25,000 deaths recorded in New York during its peak were nursing home residents - older populations at a high risk of being infected by, and dying from, the coronavirus.

Andrew Cuomo, New York’s governor, issued a directive in late March that effectively ordered nursing homes to accept elderly virus patients from hospitals. The goal was to free up beds, but it had the effect of allowing the virus to spread like wildfire among the most vulnerable communities.

 

ニューヨークでの死者の半数は高齢者施設だったそうだが、何よりひどいのは3月末にクオモ・ニューヨーク州知事が、高齢の感染者を病院から高齢者施設へ受け入れさせる指令を出して、そこで感染を広げていた、という点。

 

病床を確保するためのことだったらしいが、ここまで愚かなことはさすがに日本はやっていないはずで、せいぜい「高齢者施設では変わらずカラオケ大会やってました」くらいのことだ。

 

同様の話はイタリアでも聞いているので、つまり欧米での死者の多さは、この種の人為的な不手際に起因する部分がかなりあるんじゃないか、と思う。絶対にそんなこと認められないでしょうが。裁判になると大変なことになるので。

 

 

一番腹が立つのは、ここまで愚かな連中が、ダイアモンド・プリンセス号の対応で日本を批判し、あるいはロックダウンしない日本はバカだと言い募っていた点で、

 

「お前らと一緒にすんなバカ!」

 

と言い返すのが本当であろう。

 

ただし、記事には、ステロイドやビタミンなどを投与することで死者を軽減するなどといった治療法についての経験が米国では積み重ねられてきていることも指摘されていて、非常に心強い。こういう情報はもっと早くから日本の医療者にも伝わっているに相違ない。

 

・・・

 

EUと英国を合わせて、おおよそ5億人の人口があり、うちCOVID-19の死者は18万人とされている。増減があるにしても、人間の不手際による死者の水増しがあるにしても、また各国政府の対応がある程度の影響を及ぼしているにしても、これだけの経済的・精神的犠牲を支払わせている割に、死者数があまりにも少なすぎるように思うのは私だけだろうか。

 

それとも、欧州各国の対策が、その莫大な犠牲に見合うだけの生命を救ったのだろうか。数百万人救ったという発表もあることだけは承知しているが、私には今のところ、それが本当だとはとても思えない。

 threepinner@threepinner1

もっと意地悪を言えば、同一感染者を2回報告しても2例とカウントされてると思う。宇佐美さんのようにまともな官庁で仕事してきた人からみたら医療界ってのは信じられないほどいい加減な所ですよ。そこからアウトプットされた分析に基づいての指示・政策なんて、信じるほうが(以下自粛)。

だから、このところよく言われる「専門バカの問題」もあるんだろうけど、それだけじゃなくて、医療界の問題が確かにあると思う。

 

私は、たまたま医療の世界とちょっとした接触を持って生きている。そこで信頼に足る医者たちから、

 

「なんちゅう腐った連中やねん」

 

という医療の世界の話を以前より聞き及んでいるだけで、直接の実体験としてはもちろん承知していない。

 

承知はしていないが、「医療界ってのは信じられないほどいい加減な所」というフレーズに含まれる含蓄・陰翳が、私にはよく想像できる気がしている。

 

その上で今回、こういう事態をつぶさに見てみて、専門知を尊重したい気持ちは重々ありながらも、

 

「そこからアウトプットされた分析に基づいての指示・政策なんて、信じるほうが」

 

バカだ、ということが私なりによくよく理解できたような気もする。普段から、そういうことは聞いているんだけどもねぇ、医者はバカばっかりだって。