黙っていられないこと part17

橋下については私は以前から、「左派の鬼子」だと思っています。もうちょっと俗にいうと、久米宏ニュースステーションで語られていたことをそのまま右サイドがやろうと言っているだけではないか、と。


たとえば左派が公務員叩きに励むという構図そのものが私には理解できないわけですが、よくよく思い出せば政治家や権力を「格好よく」批判して、それで何事かを語った気になって受けていたのはおおよそニュースステーションあたりからです。


「受けた」、つまり視聴率が高かったということは、一般の人たちもそういうことを求めていたんですね。


あとはもうごくごく単純で、不況の中、メディアが視聴率競争や新聞の部数競争をまじめにやると、どんどん「受ける」ことしか報じなくなる。その結果、日本には真面目にニュースだけを伝える番組が全くなくなり、ワイドショー・ニュースショーしか残らなくなった。NHKでさえニュースショーを主眼に据えるようになった。


当然ながら政治もその煽りを食らいます。選挙で票を集めるのも支持を集めるのも、高い視聴率を取ろうとするのと似たり寄ったりだと観じてしまえば、後は一瀉千里でポピュリズムにみんなで励む形にならざるを得ない。


橋下はそういう状況の中で生まれてきた「鬼子」だと思います。


したがって、橋下は右寄りの言動を繰り返しており、そこで左派の皆さんが叩きにまわるわけですが、よく考えれば彼の主張はニュースステーションなので、政策だけ考えたら左の人たちはどの口で橋下を叩くのか、と思うわけです。右サイドのお得意ネタ、たとえば国歌国旗の話はちょっと脇においておいてですよ。


むしろ、コストカッターとしての橋下はよくやっていると認めざるを得ないのであれば、それは従来の左派の主張(「無駄な公共事業」論や「公務員は云々」といった行政批判の類)をそのまま彼が実行してくださっているだけなので、むしろ万歳三唱して喝采するべきではないのかと。


・・・いやはや自分でもなにを書いているのか分からないのですが、かくも日本の政治状況はねじれにねじれているということはしみじみ感じ入るところであり、その元凶は一般の人々の政治に対する関心や意識の低さが究極的にはあげられるんでしょう。そしてそこに、受け狙いしかやらないメディアが拍車をかけ、結果、政治がどんどん歪んでくる。


もっとみんな真面目にやれ、と言いたくなるのはここのところであります。