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ある言葉は、何かを指し示すもので、その関係が曖昧であってはならないはずなのが基本だと思う。
たとえば、「リンゴ」と言えば、赤くて甘酸っぱくてシャクシャクした、例の果物のことを指すのであって、「みかん」と同じものを指すのではない。
「リンゴ」と言って「みかん」のことを指すのはおかしい。
ところが、現実には「リンゴ」が「みかん」を指したりすることがある。もちろん、それが必要であるときもあり、あるいは文学的な効果をもたらしたり、あるいは笑いのタネとなったりすることもある。
したがってそれが一概に悪い事では決してないが、しかし基本的には「リンゴ」と言って「みかん」を指す世界にいても、単に頭がひん曲がるだけだろう。
しかし、頭がひん曲がった状態に慣れていると、「リンゴ」と言って「みかん」を指すのが当たり前になったりする。
「リンゴ」は「リンゴ」を指す状態に戻って考えることが必要ではないか。そう思われる場面に遭遇することが非常に多いような印象を、少なくとも私は持っている。