https://twitter.com/tatsurokashi/status/999730348853358592

樫原辰郎@tatsurokashi
正義感に燃えた人類は危険だというのが広まりつつあって、それは良いことなんでしょう。何事も落ち着いて冷静に考えた方が良い結果を生みます。大切なのは燃えないことだ。

https://twitter.com/tatsurokashi/status/999730691041509376

樫原辰郎@tatsurokashi
なので、落ち着いて冷静に財務省を解体すると良いと思うよ

最近、正義とそれによる行動に関するコメントをよく見る。

過度な正義感に基づいて一方的な行動に出て、時に暴力的になることは問題だ。目的は手段を是認しない。正義だから何をしてもいいということにはならない。

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しかし、この後半、「落ち着いて冷静に財務省を解体すると良いと思うよ」は、単に話の落ち・ジョークとして書いただけなのかもしれないが、敢えて真面目に受け取ると、仮に財務省の「正義」なるものがあるとして、それに別の正義をぶつけているだけだ。

たとえば、「落ち着いて冷静に安倍総理を辞めさせると良いと思うよ」と言われたら、この人はどうするんだろうか。

平らに考えたら安倍さんの責任問題は免れられない話が噴出しているうえ、財務省解体よりも安倍さんが責任をとって総理をやめるほうがはるかに容易でありかつ筋だ。

「解体」というかなり極端な方法を、「落ち着いて冷静に」語っているだけで、言っている内容は「正義感に燃えた人類」並みに無茶ではないだろうか。

財務省云々はともかくとして、過度な正義感とそれに基づく行動を批判的に語る場合、このように、自分の正義なり考えなりをぶつけたいがためにそういうことを言っているだけ、という場合が少なくない。

「落ち着いて冷静に考える」ことにどこまで意味があるのか。落ち着いて冷静に考えたところで、出てくる結論が「財務省は解体しろ」となるのであれば、それは「正義感に燃え」ている人類と一体何が違うのか。違うのは、単に口調と見た目だけではないだろうか。

正義も人それぞれ違う、ものの考え方も人それぞれ違うのは当然であって、本来ならばそれがぶつかり合って、それが最終的に現実的で実現可能な、妥当な結論を得ることに意味があるのであって、「落ち着いて冷静に考え」ればよい、というものではないはずだ。

・・・

しかし他方で、人それぞれ違うからと言って、それをそのまま是認するわけにもいかない。なぜならそれは、相対主義の行きすぎになってしまうからだ。

自分の正義を守るためだけに、過度の相対主義を持ち出すことは、「正義感に燃え」ている人類と一体何が違うのか。何も違わない。「正義感に燃え」ていないならば、わざわざ過度の相対主義まで持ち出す必要性がない。

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私は常々思うが、今の日本国憲法のように基本的人権を保障された生活を送っているのは、18世紀・19世紀の「正義感にも燃えた人類」のおかげだ。

それをどう考えればよいのだろうか。我々の生活は、彼らの血の上に成り立っている。

「正義感に燃えた人類は危険」と言い切ってしまって、本当に良いのだろうか。

私なりの答えは全くないので、ゆっくり考えて行きたいとは思っているが、少なくとも上のtweetを見ると、今の私はそのように考える。

過度な正義を警戒するだけでは、あるいは口調を穏やかにしただけでは、何の意味もない。

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と、ここまで書いたところで次のようなtweetを見た。

https://twitter.com/Heuric/status/999001090002632705

Heuric@Heuric
複数のフランス人に
フランス革命をどう思うか?」
と訊いてみたところ、100%誇りかと思いきや、3割は恥という答えだった。政治犯のいないバスティーユを襲撃し、武器を強奪し、司令官を殺害し、暴動を起こして無辜のルイ16世を処刑した血みどろの歴史を直視して恥じるるフランス人は意外に多い。

ネットを見ていると、日本人にとってフランス革命というと「血みどろの歴史」を生み出した愚行、ということになっているような印象がある。

なるほど、大革命を恥じるフランス人がいてもおかしくない。

しかし、それに対して日本人がどういう態度をとるべきかは存外難しい。

現在のフランス人の父祖は大革命で愚行をやった。しかし現在の我々の生活は大革命なくしては成り立っていない。これをどう考えるのか。

基本的人権を当たり前に享受しながら、これを空気よりも軽い扱いをする日本人が、基本的人権などの理念のために死ぬほど身を打ち込んだことなど一回もしていない日本人が、「血みどろの歴史を直視して恥じるフランス人」を見て安心する資格があるか。

恥じるフランス人がいるのはまだ理解できる。日本人は戦中の愚行でさえ恥じるどころかますます開き直るばかりなのに何を言っているのか、としか私には思えない。