講談社100周年記念企画 この1冊!:『日本中枢の崩壊』|講談社100周年記念企画 この1冊!|講談社BOOK倶楽部
ケント・ギルバートの本を編集した講談社の間渕隆は高橋洋一の「さらば財務省!」、浜田宏一アメリカは日本経済の復活を知っている」を担当した編集者のようで、つまりリフレ派人脈とつながっている。この人の言うことが大変に面白い。

リンクは2012年の文章。まずそもそもこの人は反原発路線をとっていてそのうえで、古賀茂明の「日本中枢の崩壊」も編集したそうだ。

ちなみに著者の古賀茂明さんはバリバリのキャリア官僚であったにもかかわらず、私が呼び出した新宿3丁目の「玄品ふぐ」の風景にもなじんでしまうような、ぜんぜん威張らない人。そう、私が大学でスペイン語を勉強する契機となった人物、チェ・ゲバラのように。今、橋下徹大阪市長のもと特別顧問を務めていますが、明治維新のときと同様、改革勢力が西から拡張し、霞が関を包囲する日が来るはず。いや、その「日本維新」の日は、すぐそこまで迫っています。

有名な写真のせいで、チェ・ゲバラに憧れる人が世界中にいるわけだが、チェ・ゲバラに憧れ、明治維新に憧れ、西から改革をと「日本維新」に共感する心性、これが非常に問題だと思う。

というのも、革命と保守に同時に共鳴しているから「日本維新」などと言えるわけで、この心性こそファシズムそのものだ。

私は普段、何かとファシズムだと言いたがる人たちに距離を置くことにしているが、これは断定していい。

こういうメンタリティの人間がリフレ派とつながっていたというのが大変に興味深いことで、そういえば高橋洋一も維新の会と関係があったのだった。

この点については安倍さんも同じであって、保守でありながら「レジーム・チェンジ」などと言っていた。そして、この種の言説に共鳴する人は決して少なくない。問題はリフレ派や今の内閣に限らない。

そうは言っても、この引用だけでは、リフレ派と関係のある編集者の心性がファシズム的だというだけで、この心性がリフレ派や安倍さんとその周囲にどう関係しているか、全く分からない。

単に売れるからという考えだけで、編集者本人は深く考えていないのかもしれない。もっとも、それが「売れる」ということは、世間にそういう気分が広くあることの証拠だろう。

いったいこれは何なのか。よく考えてみる必要はあると思う。

ムッソリーニは確かに政治的嗅覚の極めて優れた扇動家だったが、それでもムッソリーニ本人にとっては、イタリアの独裁者になるというのは、当初は現実的な想定ではなく、あれよあれよという間にそうなってしまったのであって、その原動力となったのはその他大勢の支持者たちの力だ。ムッソリーニはその力をうっかり刺激してしまっただけに過ぎない。

つまり、我々のごくごく身近なところに、ファシズムは静かに潜んでいる。このことに注意したほうがよい。私には余裕がないので、誰か調べてくれないかなぁ。