雑感

サイエンスの側と一般の側の反応の乖離が、どうも思ったよりすごいらしい。これはもちろん、サイエンスのロジックなり作法なりに関する一般の無理解ゆえだ。

その無理解というのは、結局功利主義的な見方しかしていないということに由来するんであって、突き詰めると「役に立つからいいじゃないか」という議論にしかなってない。もちろん、一般の議論がこういうことになってしまうのは理解しうるところだけれども、しかしながら、

「あのー、サイエンスってそういうものじゃないんですがー」

と言うよりほかない。

では、サイエンスの側が一般の無理解を批判できるのかというと、おそらくできない。なぜなら、普段からサイエンスとはこういうもんだということを言ってこなかったからだ。少なくとも積極的であったとはとても言えない。

サイエンスの側が、サイエンスとはどういうものか理解してもらう努力を日頃していない、あるいはそれこそ「将来こんなふうに利用されるかもしれません」といった功利主義的理解をむしろ促進するような宣伝をしておいて、それでこういうときにサイエンスに対する一般の無理解を難ずることはできないのではないかと思う。

最後に一言余計なことを書けば、この問題はニセ科学なんぞよりよほど重要な問題で、サイエンティストの先生方はニセ科学批判なんぞにかかずらわっておってはいかんかったのではないか、と申し上げておく。