黙っていられないこと part20

http://agora-web.jp/archives/1496658.html

橋下徹大阪市長の問題でも、報道被害の問題が忘れられている。この連載は、橋下市長を「テレビがひり出した汚物」(作家・詩人の辺見庸氏の言葉という)とののしり、その汚れが被差別部落出身の家系に起源があるという論理を組み立てた。

こういう解釈をする人、すごくたくさん見たんですが、私、これは違うと思います。


たしかに週刊朝日の見出しのあの煽りっぷりからそういう解釈がされかねないというのも分かるし、裁判にかけると負けるらしいんですが。記事そのものはそういう解釈はちょっとできないと思う。


統計の人たちは相関関係と因果関係の区別について非常にやかましいわけですけど、今回もそれに似ていて、佐野眞一は彼のいつもの方法に従っただけで、石井孝明のような解釈で因果関係まで断定的に解釈していいのかはよく分かんなかったのが正直な感想です。


というより、佐野眞一のことだからそういう議論にはまずしないだろうというのが率直なところ。


ただし、雑誌の売らんかなじゃないか云々という批判は分かりますよ。でもそれだったら文春新潮のときにもっと徹底的に叩いておくべきだったんです。

・・・

問題の中心は、上記の論理構成の異常さであり、これは橋下市長の血縁者全体を攻撃するおぞましい考えにつながる。無関係な人を巻き込む言論テロであろう。橋下市長は「明らかにペンの力での家族抹殺だ。逆に僕は佐野を抹殺しに行かなきゃいけない」と、ツイッターで述べた。もちろん橋下氏のそれからの行動には、冷静な政治家、喧嘩上手の姿も見えるが、怒りの根源は被害者としての苦しみであるとこの言葉から分かる。

まあ、いかがなものかと思うわけです。橋下の尻馬に乗って。自分だって十分「みっともな」いことが分かってない。


橋下のTwitterは不愉快なのであまり見ないことにしているんですが、
https://twitter.com/t_ishin/status/261195273596981248

【訂正・お詫び】週刊朝日の発行出版社は、朝日新聞出版でありますが、僕が朝日出版と間違えました。朝日出版は、朝日新聞出版とは全く無関係です。僕の間違いによって、朝日出版に苦情等がなされているようです。朝日出版の皆様、多大なご迷惑をおかけしまして申し訳ありませんでした。

https://twitter.com/HALTANHALTAN/status/261926888329584640

改めてこいつ本物の馬鹿!

としか言いようがない。叩ける対象が「朝日」だったら何でもよかったことを露呈してしまっています。


百歩譲って橋下のアレぶりがまた一つ示されただけでそれはまだよいとしても、他の人の反応はどうだったか。朝日を批判する右側の意図も(石井孝明も政治的には右派ですが)、いかがなものかと思うわけです。橋下の調子に合わせてるだけなんだから。


そして、そういう状況に理屈をつけてしまう法律家の先生たちも。


もしも本当に橋下は問題だと考えているのであれば、ただ「差別はよくない」とだけ発言するにとどめておくべきだった。それ以上のことは無用でした。


でも、結果的にそうならず、「橋下は支持しないが」というエクスキューズつきで朝日叩きに励んだ人が多かったところを見ると、おそらく、橋下が問題だとは本当のところは誰も考えてないんだと思います。「怒りの根源は被害者としての苦しみ」とかウソ臭いことをあっさり書けちゃうあたりを見ても。


「怒りの根源」は単に毎度の発狂と政治的に喧嘩したいだけの話でそれ以上のものは何もないという程度のことすらはっきり書けないのに、きれいごとを書いて事足れりとしてしまっている。


きれいごと、それ自体は「正しい」ことにただ乗りして偉そうにしてるだけなのに、誰が朝日のことを批判できるのでしょうか。


「被害者の怒り」を忘れるな、「「自らの情報が周囲の人を傷つける」という当たり前の想像」をせよと言いながら、差別問題を体よく政治的に利用しているのは石井本人じゃないのかと。


・・・白々しい。