黙っていられないこと part8

先にも書いたように、玉井克哉先生は法律問題に関してネットで私がもっとも信頼を置く先生のお一人です。そして、新潮・文春が橋下の出自を報じた際、批判的に反応しておられました。


ただ、今回、次のようなTweetをしておられるんですね。
https://twitter.com/tamai1961/status/259880164937310208

第二の点についていうと、新潮や文春の記事は、選挙前のタイミングを狙ったもので、あっさりとスルーしてしまうのが、陣営の選挙対策として有効だった。今回は、喧嘩すること、そして勝つことが、支持率下降局面での話題作りに適していた。 @rrr53

https://twitter.com/tamai1961/status/259882076189380609

先の第三の点は、朝日ブランドは日本の言論空間で占める地位が依然として特殊だということ。人権を擁護したい側は、朝日が新潮や文春みたいになってもらっては困るので、こういうときは深く反省して出直してほしい。朝日の世論誤導に辟易している側は、これを機に影響力を削ぎたい。@rrr53

おっしゃっていることは非常に分かるわけですが、はっきり申し上げていかがなものかと思います。


というのも、法律家の先生が、差別問題に関してこのような政治的要素なり状況要素をそもそも考慮に入れて論じる必要があるのか、なぜ考慮に入れて論じるのかという点です。


文春・新潮の際に玉井先生はすでに批判されていたわけですけれども、対応の差についてわざわざ是認するロジックを構築する必要性は全くない。


もちろん。橋下の考えや、世間の反応、識者の反応の分析としてはその通りだと思います。ただ、法律家がこういうロジックを正当化することで、どういうダブルスタンダードが生じて是認されてしまう(しまった)のか。


追記:読みなおしてみて、これは違うかと思ったのは、玉井先生は別に二重基準のロジックを是認したかったわけではないだろうということで、そこのところはおそらく私の間違いでしょう。


 ただし、このようなダブルスタンダードにいたるロジックを明らかにするとして、しかしながらこの種の二重基準は断じて認められないと強く主張するべきだ、ということもまた当然であろうかと思います。)


そこのところについて、私はやや疑問です。
https://twitter.com/sugawarataku/status/259906196662804481

マスメディアの報道に絡めとられて、大阪市長を(プラスかマイナスかはともかく)大きな存在と捉えて議論するのは、それこそ市長や維新の会の望んでいることでしょう。思う壺。彼らは中央政界で目立てない以上、どんな形でも仕掛け続けていくしかないわけで。地方行脚とかもそれ。

これも全くその通りだと思うわけですが、この種の戦略的黙認論が本当に有効に機能するかどうか。選挙後もそれで話がすむかどうか。私の懸念については先に書いたとおりであります。
(もっとも、「政治学者のくせにホメオパシー批判の問題が分からないうえ、地方を軽々に論じて被災地のブロガーからイヤミを言われる程度の東京大学の軽いお調子乗りだ」という菅原先生に関する私の認識はこの際、置いておきます。)


あと、玉井先生がRTしておられたTweetでこういうのがありました。
https://twitter.com/hyakutanaoki/status/259870170296770561

橋下氏が記事を読んで感じたであろう「恐怖」と「怒り」を想像できない人間は、人の心がわからないのだろう。記事は橋下氏への憎しみと憎悪にこりかたまった常軌を逸したものだった。彼の人格を否定し、その原因はDNAにあるとして、部落出身の出自や一族の悪評をさらすなど、許される記事ではない。

そもそも、橋下は本気で「恐怖」も「怒り」も感じているわけがなくて、たまたま政治的に使えるネタが来たのでああいう態度にでているわけです。でなければ、文春・新潮のときに開き直って自分の出自を宣伝したりするわけがない。(本当かどうか未確認ですが、件の同和地区があるとされたところでは自分もそこにいたことをおおっぴらに言っていたそうで)


さらに、記事そのものは橋下への嫌悪感丸出しで、また佐野眞一のノンフィクションとしても書き出しはまあこういうものかと私は思いましたが、「その原因はDNAにある」とは書かれてなかったし、「部落出身の出自や一族の悪評をさらす」と言ってもそれほどの印象は僕は受けなかった。話がどうなるかは連載の進展を一応は待たなければいけなかったとは思う。


もっとも、法的には違法性が高い、「端的に差別」となるのは間違いないところなので、そういう問題とはまた別であります。