扇動のための不当表示としての「リフレ派」 part61

「当たり前の増税議論」に欲しい国家観: ニュースの社会科学的な裏側

「当たり前の政治が欲しい」で、財政問題がテクニカルな議論ではなくて、感情的な精神論に陥っていると批判されている*1。財務省陰謀論増税反対の背景にありそうなのは感じなくも無いが、それでは「当たり前の増税議論」にならないので、当たり前の事を述べてみたい。
増税反対派の主張が、なぜ説得力を持たないかだ。テクニカルな理由を装って、自身の国家観を隠しているからだと思う。

これ、別に経済論議に限った話じゃなくて、広く見られるんじゃないかと思うんですがね。


自分の政治性を隠したら、広く一般の支持を得られるだろう、読んでもらえるだろうと思うんでしょうが、でもちょっと読みなれるとそういう、ある種の「客観性」が実にいらだたしい。要するに偽装するための客観性ですからね。


真ん中飛ばして最後に飛びますが。

こういう面は、徐々に理解されてきたように思える。消費税アップ後も現状の給付水準を維持する事は不可能なので、今後も重要な観点になっていくはずだ。つまり、政党の要綱として福祉国家を目指すのかシバキ国家を目指すのかを標榜し、政党のマニフェストとして政策手段を明記するのが当たり前の政治と言う事になると思う。

素直に考えると、大きな政府と小さな政府、あるいはリンクされているdongfang99さんの言い方に従えば緊縮派対反緊縮派、ということでしょうが、とにかくそういう路線で素直に対立軸を作ってもらわなきゃ困る。


。。。ところが、日本の場合これがねじれまくっているので一筋縄でいかない。「当たり前」まで遠そうなんだよなぁ。。

追記
あとこれは面白かった。日銀は世論を気にしている、学者の多数派の支持がない以外の根拠としてはこのあたりじゃないのかねえ。
日銀がリフレーション政策を嫌がる理由: ニュースの社会科学的な裏側

1. 流動性の罠にあると量的緩和に効果は無い

2. 量的緩和ハイパーインフレーションを生むケースもある
量的緩和にはリスクがあって、よくハイパーインフレーションを生むと批判されている。日銀がこの可能性を明言しているわけではないが、恐らく意識はしている。

3. 日本銀行にもB/Sがある
(略)
ただし日本銀行がグリップできないようなハイパーインフレーションになりかけたら、増税と政府支出の削減で需要を抑制すればいいので、政府が機能しているのであれば大した問題ではない。もしかしたら日銀は、政治機能が麻痺しているように思っているので、リフレーション政策を嫌がっているのかも知れないが。確かに2007年7月に参議院民主党過半数をとって日銀人事が混乱し、その結果として白川方明氏が日本銀行総裁に就任したことは、疑いの無い事実だ。

・・・orz。


肝心なのは政治が機能してくれることであって、そのためには主権者たる我々国民の一票が大事、、、ということなんでしょうが、ああ、巷では相も変わらず日銀悪玉論に官僚たたきの垂れ流しですよorz。


追記2)
やっぱり、まともな人がまともに書くと違うなあって当たり前か。
日本経済に関する10の俗論のまとめ: ニュースの社会科学的な裏側
いい記事だと思うんだけど、ブクマもTweetもあまりされていないらしいな。うーん。。。

リフレ政策は本当に下火になったのか?: ニュースの社会科学的な裏側
で、全く下火になってないし、支持者は結構いるという記事なわけで、いや、私もそう思います。そういう自分も、リフレしろとかインタゲだとかに期待や関心があった時期があるし。


でも問題はまさにこういうことなんでしょ、きっと。
リフレ政策が不可能な単純な理由: ニュースの社会科学的な裏側

5. 期待インフレ率は経済理論と経済政策の狭間
経済理論にある期待インフレ率は、その形成過程が曖昧で、実際の経済政策で操作するのは難しい。量的緩和だけでは期待インフレ率を操作できるのかが疑わしく、リフレ政策は機能するように思えない。
理論的には機能するはずだが、経済政策としてリフレを採用し難い理由はこの点に尽きると思う。採用するのであれば、如何なる手段を併用してでも期待インフレ率を上げないといけない。しかし、輪転機の上に乗って「ヒャッハー!デフレは消毒だ〜っ!」と叫ぶ日銀総裁を、多くの人が受け入れられるかは疑問だ。

日本銀行総裁亀井静香説とか誰か言ってたような気がするが(もちろん冗談で)、ま、結局現実には無理なんでしょう。残念だけど。


そして、だから腹が立つんだけど、できないことを分かっていて語るし、またそれを信じる人たちがいるわけで、いや、善男善女のみなさんはともかく、分かってて吹いてる人たちの罪ってのがね(呆)。

追記3)
ふふふ。
偽医療ホメオパシーと科学的な医療: ニュースの社会科学的な裏側

4. 統計学的に効果があれば、漢方や鍼灸でも科学的治療法である
漢方薬が効く理屈が宗教がかったものでも、臨床試験で薬効と安全性が確認できれば、科学的に有効な薬となる。原理や原料の制限は無い。アスピリンは著名な頭痛薬だが、実は厳密には原理が不明だった薬だ。成長ホルモンはかつて死体から精製していたし、女性ホルモンのエストロゲンは馬の尿から精製している。

まあ、漢方薬は調査が進むからよろしいんでしょうが、科学を前面に押し出すなら、裏付けが確認されるまで使うな、と言うのが筋ですわな。あと鍼灸についてはドイツの調査では結論がプラセボだとされてるのは以前書いた。(鍼もやっぱりプラセボなんかな? - 今日の雑談


だから科学的治療法とはまだどっちも言えないんだけど、まあ、こうやって擁護しちゃうんだよね。これだけのまともな記事を書く人ですら。ましてホメオパシーの社会における位置づけが日本とヨーロッパあたりと違うとかはもう完全に無視されてるんだけど、まあ、仕方ないね。ニセ科学批判、恐るべしというところ。


でもこのころはまだましだったんだなぁ。今から思えばまだ平和的だった。そしてたしかに、ニセ科学批判の悪口をこのブログの柱に据えた理由の一つは、当時は政治ネタに飽きて、ネットで形成される「群れ」の問題を扱うならニセ科学批判あたりがいいなと思ったのだった。まあ、しかし、リフレ派のおかしさとか震災後の日本の空気とかに比べれば、ニセ科学批判なんてまだチョロいもんだったね。