ネット○○派 part285 素晴らしきニセ科学批判の世界

最初に、「産業技術総合研究所」と書いてあるから、独立行政法人ニセ科学批判に手を出し始めたのかorzと一瞬思った。個人のサイトなんだな。よかった。

SAKURAi's workshop

ニセ科学の見分け方
信頼性の低い情報を見分けるご参考に。

で、信頼性が高い情報ってなにかというと、査読やチェックが多くはいって、ようするに科学の作法に則った情報は確度が高いんだということになりますわな。がくっ。


いや、確かに科学ネタならこれでいいんだろうし、分かる。


ただ、たぶんネットだけを対象にしてるんじゃないんでしょうが、とりあえずここではネットの話に限定した上で、さらに情報一般に話を広げると、科学の手順に則った情報なんて、ネット上にはかなり限られていて、ほっとんどがそういうものとは全く別のものだ。最近、「情報の信頼性をなにによって担保するのか」と書いているのもこの問題で、、、


でも、まともそうな科学者でも、政治が絡むと言うことがねじれてくるのがいたりするのも現実でね。国籍法の改正のときとか、なんかニセ科学批判の人にいたね、そういうのが。困ったことだよ、本当に。

で、「荒らしの例」として例示されてるのは、類型といってもいいんでしょうけど、ネット○○派観察の参考になるだろうから興味深く読みました。


たとえば「指摘の無視:重箱の隅だけを強調して議論を拒否」ってホメオパシー叩きで自己正当化するときによく言ってましたわな。「子供が死ぬから詐欺だからホメオパシーはダメ」で終わらせるとか。まあ、人が死ぬのが重箱の隅とは言わんけど、それが踏み絵になっちゃうし、これやられるとそこで議論が終わっちゃう。「便所の落書き(同じことを繰り返して逃げている)」「議論ループ」も同じと見ていいかもしれない。


陰謀論」といえば、水伝の親玉が国連で講演するとなったら「科学が終わるのか」と言い出すニセ科学批判の第一人者とか、いましたね。陰謀論の問題はネット○○派に割に共通していて、ネット右翼創価・特亜やリフレ派の日銀・官僚悪玉論とか、だいたい自分たちの設定した敵の力を非常に過大に見積もったりして「悪」を強調するものです。で、その悪と戦うオレって正義という議論に持ち込むのは、枠組みとしてはニセ科学批判も同じです。


「論理の飛躍:暴論を持ち出して逃げている」というのも、ニセ科学批判だと「優先順位問題」あたりがそれかもしれない。個人のリソースには限界があるだけだと言って、ニセ科学批判の対象の選択基準を明確に示さない。これで、ニセ科学批判はダブルスタンダードを是認してしまえてるんだけど、この論理の飛躍に気がつかない。


だから「俺様基準」にならざるを得ないし、ホメオパシーと漢方・鍼の扱いの差が説明できなくなるのよね。


最後の「他力本願:自分の主張の根拠を示さず、相手にだけ説明させようとしている」は、もうネット右翼を相手にしているときによくこういう誘導尋問に付き合わされました。ニセ科学批判もよくやってますわね。他所を見ていてもやっぱり質問の連発とか、「○○という問題を無視か!」とかブコメつけたり。


ネット上でネット○○派が誘導尋問をやるのは、あれは自分の思考を確認したいだけで、別の道筋を掲示されると困ってしまうものです。ネット右翼を相手にしていた時はそれも込みで付き合ったものでしてね。ニセ科学批判まで同じことやるの面倒だから、コメント欄閉じちゃったけど。


。。。いやはや。これでは、いくら科学的には言ってることが正しくても、と。


というか、この「荒らし」の分類そのものがなんちゃって議論の香りが例によってプンプンする。例に出されてる会話とかみると、自分におかしいことがあるかもしれないとはいささかも考えられてないな。

いや、いいんですよ。こういうものを作り上げる熱意は分かる。ええ。ただね。

こんなもんに騙されたら、科学者/技術者/ジャーナリスト/意志決定者としての恥です。

なるほど。さすが。僕もそう思うんだよ、本当に。


ただ「手口」「対策」「荒らし」という単語が簡単に使われてるんだが、いくら科学者は善悪二元論は信じないと言ってもこれではねと思います。


あと、ニセ科学批判の立場そのものが純粋に科学の(手続きの)問題だとまだ信じられているらしいあたりが驚愕ものだという他ない。ホメオパシー叩きでも明らかになった問題は、科学の問題と世間の道徳の問題との二股がけをやっていることなんだけれども、そこは完全にスルーされている。


この辺りは、なにもホメオパシー叩きだけじゃないので、科学の手続きや科学的懐疑は具体的にはこういうもんですよと言っても、余計に誤解を生むだけなんじゃないかと思う。これだけ科学的懐疑が強調されてるのに、ついぞニセ科学批判そのものへの懐疑的な雰囲気が見られないってもうおかしいんですよ。。。


海外の疑似科学批判や懐疑主義を日本流に改変したニセ科学批判を鵜呑みにされてしまってることがそのまま出ちゃってるだけで。こういう形になるのは理解はできるんだけれどもね。。。

追記
一応、いつも書いてるように、ニセ科学批判の人たちは、たいていは専門はちゃんとしてる人たち(か、ただのオタク)じゃないのかと思ってるので、専門の議論はそれでいいわけです。


問題は専門から越境しちゃう場合で、別に越境するのは全く構わないんだけども。ネットだしね。ただ、越境しちゃってる場合は読み方が難しくなるだけ。たとえば、再生可能エネルギー界隈の人たちはドイツが好きだけども、個人的にはちょっと慎重に構えてる。あと、それにこの界隈をTwitterで見てると、いろいろ難しい問題はあるんだなあという様子はうかがえますけどね。。。リフレ派なんかと同じで、理論家と実務家の差を考えないとたぶん相当議論がずれるなという感じはしています。