面白い審議会議事録

これね。流し読みしただけだけど。
http://www.jbpa.or.jp/nenshi/pdf/0310.pdf
この場合は雑誌付録の、アダルトビデオのサンプル集みたいなもんだろうけど、その東京高裁判決。結局出版社が負けてる。


集英社Tweetみたら、面白いよな。
http://twitter.com/Shueisha_int/status/13261828037550080

まあ、もちろんアニメやコミックの中には一般の感覚からしたら「いかがなものか」というものはたしかにあります。でも、その線引きを権力が行なうことは「検閲」に他なりません。そのセンスの欠如が恐ろしいんです。

その理屈で集英社が裁判にうって出てみたらいいよ。判決では、

憲法21条2項前段にいう「検閲」とは,行政権が主体となって,思想内容等の表現物を対象とし,その全部又は一部の発表の禁止を目的として,対象とされる一定の表現物につき網羅的一般的に,発表前にその内容を審査した上,不適当と認めるものの発表を禁止することを,その特質として備えるもの

いずれも発表後のものであることは明らかであって,都青少年条例9条の規定による効果は,販売業者等に,事後的に,青少年に対して,指定図書類を販売し,頒布し,又は貸し付けることが禁止されるものであることからすると,上記各条項による規制が検閲に該当しないことは明らかといわざるを得ない

安易に検閲検閲って言って煽るけど、自主検閲のほうは(以下略)。

・・・

これ読んで思い出したのは、審議会のある議事録なんだよな。平成21年5月第588回。
http://www.seisyounen-chian.metro.tokyo.jp/seisyounen/pdf/09_singi/588/gijiroku(588).pdf


ここでは、バナジー出版「恋愛体験2009年5月号」が審議にかかったが、付録のDVDもともに対象となった。青少年課長が、

なお、こちらにつきましては、後ほどご覧いただきますが、DVDの最初の部分に「このDVDは18歳未満の方は見ることができない」というような趣旨のことが書いてあるんですが、DVDと本自体には、そういった旨のことは書いてございません。

と説明したうえでDVD審査に入ったのだが、審議中の発言が面白くてね。

○■■委員 あれが最初に成人指定と。
○青少年課長 はい。成人指定ということで。
○会長 最後に出てくるんですね。
○青少年課長 これは冒頭なんですが、かけると「18歳未満への貸出・販売禁止」という
ことが出てきます。

上の裁判のDVDと同じだ。ただ、あちらは18歳未満を選択すると再生しないようになってたらしいが。


この後、委員たちが、おそらく興奮してきているらしい。

○■■委員 買わせておいて。
○■■委員 ごめんなさい。だから何なんですか。
○青少年課長 そういった内容のDVDであると。
○■■委員 意味がわからない。

青少年課長、必死。よくこんな発言を議事録に残すよね。

○青少年課長 中身は今見ていただいたとおりで、この本自体は、特段成人マークを付け
たりということが全くなく、書店の平場で、いま見ていただいたような状態で置かれて います。ですから、青少年が手に取って買うことができるものですが、DVDの内容は、
業界的にはビデ倫の審査を受けて成人指定になるようなものということです。
○■■委員 買わないとわからないということは、だから何なのと。
○会長 青少年が買いやすい場所に置いてあり、買ってみたところ、DVDの中身は18歳未満の貸出、閲覧の禁止と……。
○■■委員 最初に出るんですか。
○青少年課長 最初に出てきます。本をご覧になったときに気がつかれたかもしれません
が、DVDには18禁マークのようなものが特段ついておらず、DVDをかけるとああ
いったものが出てきます。
○会長 わかりますか。
○■■委員 わかるんですけど、それが何か……。4誌とも不健全図書に指定でお願いし
ます。

審査済みの他の図書とあわせて以下、怒涛の流れに。

○■■委員 同じく、今のDVDを含めて4誌とも指定で結構です。
○■■委員 同じく4誌とも指定でお願いします。でも、あれだと法律違反にならないん
ですかね。買わせておいて、これを見ちゃいけないよと。そういうことは法律には触れ
ないの。売っておいて。
○■■委員 景品表示法的には、多分いけないと思いますけど。見ちゃいけないものを売るということなので。
○■■委員 売る以前にだめなんじゃないのかなと。よくわからないけど、いいです。

よくわからないけどいいですって。

○会長 いいですか。では、■■委員、お願いします。
○■■委員 4誌とも指定でいいと思います
○■■委員 4誌とも指定でお願いします。
○■■委員 指定されると区分陳列ということですよね。成人のところで見られるという
ことですよね。4誌指定です。DVDも売る側が少年に売ってはいけないと言っている
んですから、別に指定されても異存はないと思いますので、指定で結構です。

面白いでしょう?笑えるでしょう?

・・・

ただ一つ言えそうなのは、雑誌とDVDの抱き合わせ商法に、出版社側が全く懲りてないってこと。上の判例は平成12年の指定をあつかってるわけで、それから9年たってもまだやってる会社がある。別の出版社なんでしょうけど。


まあ、これだけ商魂たくましい、気合が入ってんだから、なにが言論の自由の危機、表現の萎縮だというんだよ。いいじゃないか、これで。


むしろ表現規制っつうなら、出版社の過剰な自主規制のほうがずっと問題じゃないの。
http://mainichi.jp/enta/art/news/20101214k0000m040066000c.html

漫画の表現を巡る「タブー」は性だけに限らない。近現代史が好きな野上さんは、日中戦争を正面から描く構想を温めているが、政治的な攻撃を恐れて出版社はどこも難色を示すという。

ね。