ネット○○派 part114 ニセ科学批判はハゲをハゲと言わない

菊池誠は科学者か?① ( 物理学 ) - 命のデモ行進 - Yahoo!ブログ
最後だけとると、そう。途中は読んでないので知らん。

単純な二分法では答えないのが科学的な誠実さ
ところがニセ科学は断言してくれます。マイナスは良いといったら良いし、プラスは悪いといったら悪いのです。
このように、ニセ科学は実に小気味よく、物事に白黒を付けてくれます。この思い切りの良さは、本当の科学には決して期待できないものです。

ここが、マジックっつ〜かテクニックっつ〜か。ついさっき、『小気味よく、物事に白黒を付け』とった人がよく言うよって、おらなんか思うんだども。

ここで「黒白二つに分けられないけれど、しかし明確な黒や明確な白というものはあるはずだ」というのが、定番の返答。


ところが、ホメオパシーは黒で漢方や鍼灸は黒ではないというのは、科学的にどうなんだという説明が、ない。最後に出てきたのは「ホメオパシーはとにかくダメ」「ホメオパシーは人を殺す、子供が死ぬ」くらいしかなくなってしまった。漢方でも鍼でも人が死んでるのにね。


同じようなダブスタは、ゲーム脳脳トレの関係にも言えたし、たぶん他にもあるんでしょう。


もっとも、「明確な黒」だけだったら叩きゃいいという発想もどうかと思うわけで。それって十分に「単純な二分法」だろう。


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この議論は、次のような話の逆だ。青少年ネット規制法の規制対象の範囲について、「法案の規定が曖昧だ」というネットでありがちな反対論に対して。
青少年ネット規制法案 - おおやにき

それでもグレーゾーンは残る!

その通り。で? グレーゾーンがあるから真っ白なものも黒と判定される危険がある、というのは典型的なハゲ頭論法。髪の毛が0本の男はハゲである、いまハゲの頭に髪の毛を1本増やしてもハゲであることに変わりはない、ゆえに数学的帰納法によりあらゆる男はハゲであるという、あれ。実際には、もちろんグレーゾーンはあるものの我々はハゲとフサを区別できる。前項で挙げたわいせつ物についても、もちろんグレーゾーンはあるし基準は時代によって揺れ動いているが、おおむね白と黒を判別することはできてきた。その事実を無視して抽象的な危険性を主張してもあまり説得力はない。

ハゲかそうでないかの判断を、司法と国会同意人事によって民主的統制のもとにある組織があれこれするという話では、ニセ科学批判はもちろん、ない。


しかし、ホメオパシーはハゲだと言いながら、ホメオパシーより髪の毛が500本だか1000本だか多い程度のものを「ハゲ」だと言わない理由はない。


漢方には、科学的根拠のないものがあるし、副作用がどうなのかもよく分からない。にもかかわらず、医者が経験に頼って使ってるのは、ホメオパシーを利用する医者と何が違うのか。


鍼はプラセボだという研究は出ていて、実際海外の懐疑論者は批判の対象にしているのに、日本のニセ科学批判の対象にならない理由は何か。


漢方も鍼も、ハゲはハゲだろう。


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「明確な黒や白」があって、「明確な黒だけ問題にしている」と言いながら、実はその「明確な黒」の判断基準さえよく分からないというのが、ニセ科学批判の実態。


で、これを全部投げてしまうのが、「優先順位問題」の一言で、これで問題を覆い隠せているつもりになっている。


さらに、こうなると「明確な黒」だと決めるのは、「ニセ科学批判の僕たち」であったり「菊池先生が言ってるから」「有名なブロガーが反対してるから」以上の理由がない。以前から言っているけれど、ターゲットにする基準って完全に俺様たちルールでしかなくなってる。


それで、他人の言動をあれこれしたり、罵倒することで実質的に潰しにかかるのは、罪悪以外のなにものでもない、と思うんだけれども。
追記
念のため。ニセ科学は断言してくれるけれど、科学はそうじゃない、みたいな話は、海外の擬似科学批判ネタでも同じことを言っているようですが。僕から見ると、本当に擬似科学批判の側が単純な二分法をやってないかどうかは怪しいもんだと言う意味では、ニセ科学批判と同じトラップにはまっているように見えますな。