ネット○○派 part55 グレーゾーン問題をニセ科学批判の免罪符にしてはならない

某所で菊池先生のこういう発言を見た。
http://d.hatena.ne.jp/kihamu/20070214

白か黒か

こんにちは

僕たちは科学とニセ科学とのあいだには(たぶんかなり広い)グレーゾーンがあり、きちんとした境界は引けないのだ、と繰り返し強調しています。ただ、どれほど灰色の領域があったとしても、世の中には「どう見ても黒いもの」や「どう見ても白いもの」はあるではないか、ということです。単純な2項対立の図式ではありません。

2007/02/15(木) 01:40:01 | URL | きくち

この議論は基本的に、最近の次の見解と同じ。
http://synodos.livedoor.biz/archives/1503963.html

「科学で解明できないものに何でも「ニセ」とレッテルを貼るのはおかしいのではないですか」→貼っていません。科学のフリをするけれど、科学としての条件を満たしていなかったりするものにだけ、注意をうながしているんですね。

注意をうながすどころではないのは、現状を見ればわかるし、ニセ科学批判側から現状が問題視されている様子もない。


ようは「真っ黒」と「その他」に分けて、「真っ黒」だけ追い出してしまえという話にしか見えない。それで「単純な2項対立の図式ではありません」といわれても困ってしまう。

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しかも「真っ黒」が本当に「真っ黒」なのかというのも、ホメオパシー祭りで怪しくなってしまった。


ホメオパシーが真っ黒なら、鍼や漢方はどうなるか。ホメオパシーと予防接種の話はよく取り上げられるけれど、鍼でもこうだ。
http://www.holis-net.com/article/13224636.html

インフルエンザワクチンの予防接種で重篤な副作用が報告されていて、危惧する医療関係者は多いようです

ある医療関係者の先生とお話をさせていただいた時の会話

金井「A先生は、インフルエンザワクチンは予防に効果あると信じていますか?」
A先生「信じていませんよ。ただし、ワクチンを否定して、患者さんがインフルエンザに感染すると責められるので、黙っていますけどね」
金井「・・・」

■編集後記

インフルエンザ、風邪について書きましたが、子供が熱でウンウン唸っているのを聞いていると親としてはつらいですよね。

ちょっと前に、生まれて初めて風邪をひいたお子さん(生後10カ月)が来院されました。

そこで、とても貴重な体験をしました。

鍼灸医学(東洋医学)では、風邪は、傷寒というのですが、
黄帝内経太素によれば、典型的傷寒は、1日目が巨陽、2日目が陽明、3日目が少陽というのが規則通りに進むとあります。

私たちは、たくさんの不節制のためなかなか教科書的にいかないものですが、生後10か月目ということもあってか、この典型的な流れをFT鍼灸診断で確認ができました。

鍼灸医学(東洋医学)の古典のすごさ、体系的にまとめられていることの驚きを味わうことができた例に遭遇し、ますますFT鍼灸の奥深さに心新たにしました。

インフルエンザワクチンは必要?それとも必要でない?いったいどっちなの!? | 小林鍼灸院・院長ブログ!

そういうことでいうと感染予防の一番の方法は、
ちょっと無茶な話だとも思いますが、
インフルエンザに自然感染しておくことだということになりますね。

ホメオパシーとおんなじ。


「真っ黒」にも差があるのか、それとも「おまじないでも効けばいい」ということならホメオパシーは「真っ黒」ではない場合があるのか。


しかも、日本に根付いているものは容認できて、外国由来の新参者は過酷に叩くというのは、下手するとただの排外主義。左翼がホロコーストまがいの主張をしてるということになりかねない。

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もっと怖いのは、この怖さを認識しづらいらしいということ。最初に引用した元記事のkihamuさんは、
http://d.hatena.ne.jp/kihamu/20070214

>菊池さん
はじめまして。啓蒙活動、お疲れ様です。まずはそのお仕事に敬意を払いたいと思います。(略)
2007/02/15(木) 18:38:00 | URL | きはむ

菊池さん達が最初から一貫して「現実的な対応」に終始しているのは理解しております。(略)
2007/02/16(金) 17:37:12 | URL | きはむ #- [ 編集]

まあ、きはむさんは菊池先生の「単純な二分法でない」という主張にきちんと反論しているのでいいんだけど、やっぱり菊池先生のタヌキぶりにのせられちゃってる。(もっとも、当時は僕も騙されてた)

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ニセ科学批判なんてネットだけの話で、リアルにはたいした影響力がないからいいだろうというものだけれども、しかし、こういうものの考え方になんとなく慣れてしまうというのは、正直言ってちょっと怖い。


ニセ科学批判の危うさは、原理主義とか相対主義とかいう話よりも、こういう危うさのほうがずっと問題なんだと僕は思う。