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小池百合子がファシストだという声が上がったときに、「安倍晋三程度を面白半分にヒットラー呼ばわりしたツケが」という話があった。
もっとも安倍も小池も「ファシスト」「ヒットラー」扱いするのはどうかと思うし、安易な「ファシスト」呼ばわりは私も好まないんだが、言われるほど安倍晋三に本当にファシズム成分がないかどうか、ひそかに疑っている。結局、安易なレッテル貼りだし、そんなに安倍と小池に区別をつけたいか、という話を私はしたいだけなので、まあいいだろう。どうせ「面白半分」だ。
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ファシズムで一つ大事なのは、指導者の神格化だ。指導者を神格化することで、仮に政権に問題があるとしても、指導者への支持は失わないようにできる。
安倍の場合、一つ気になるのは、「応援演説のヤジは選挙妨害だ」という話が出ていることだ。
例えばこういう産経の記事があるわけだが。
【衆院選】ヤジに聴衆から「選挙妨害するな!」そして拍手…「偏向報道」に抗議するプラカードも登場 左派系団体の演説妨害に抗する動き、新潟で (1/2ページ) - 産経ニュース
安倍晋三首相が12日、新潟市で行った応援演説で、もはやおなじみとなったヤジ、妨害が相次いだ。だが、そこで起きたのは「選挙妨害するな!」の一喝。ネット上では称賛する声が出ている。
普通に考えて、応援演説のヤジ程度で選挙妨害扱いするのは考えられない。選挙妨害というと、即座に思いつくのは、直接的な暴力行為による妨害や強制だ。
「首相の演説は黙って聴け」という、意味が分からない。
そもそも、こういうことを言う人たちは、左派の演説に対してはヤジることもあるはずで、アンフェアだろうと思う。
そういえば、以前、「安倍総理の前で記者が足を組んでいるのは不遜だ」という話があったことを思い出す。
【画像】安倍総理にインタビューするTBS記者の態度がひどすぎる - NAVER まとめ
きっと、菅直人に対しては、足を組んで、手を腰に回して、乱暴な言い回しをしたってかまわないんだろう。
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こういう心性は相当にファシズムっぽくて、気持ちが悪い。
もちろん、ここに書いたのはほとんど冗談のようなもので、本物の「ファシスト」はこんなものではない。しかし、「ファシスト」と言ってもいろんな見方ができるのであって、安易なレッテル貼りとしても、「小池と比べて安倍ごときで」という形で「安倍はファシストではない」と言えるかどうかは検討が必要だろう。
少なくとも、そういう形で差をつけて、「安倍は違う」と断定するのはいかがなものかとは思う。経済政策やスキャンダル隠しなど、「ファシズムっぽい」と言おうと思えば言えるのだから。
(追記)
自民党の街頭演説の前後に、「君が代」を流す場合が少なからずあるらしい。
自民党の党歌ならまだしも(山本直純作曲、ハ長調の実に人を食った、アホくささを極めた曲で、インターナショナルと同じくらいに私は大好きだ)、さすがに気持ちが悪いの一言に尽きる。
こういうのを、ファシズムっぽいと言わずして何をファシズムと言えばいいだろうか。
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ここまで書いて思い出したが、一度、シルビオ・ベルルスコーニの集会に行ったときに、演説が始まる前に「シルビオがいてよかった」という曲を延々ながしていた。
Meno male che Silvio c'è video ufficiale inno campagna PDL - YouTube
これも音楽を使った、全体主義的な動員方法であって、国歌でないから問題ないかというとそういうわけでもない。
ただし、この曲も良くできていて私は好きな曲の一つだ。