・その1

図書館で網野善彦著作集の月報を眺めていたら、氏家齊一郎聞き書きがあって興味深かった。網野とは東京高等学校の同級生だったらしい。

いろいろ興味深い論点が上がっていたのだけれども、その一つは国家と戦争に対する問題だった。特に氏家は、日本の戦争責任の問題について日本人として問題に向き合って解決・整理がなされていないことを指摘して、東大で共産党に氏家を勧誘した渡邉恒雄とも考えていることだとしていた。

彼らは元共産党員だから、という色眼鏡でみるのではなく(今のネット世論の空気だと、わざわざこう書かなければならないあたり、つらいものがあるわけだが)、当時の若者世代の率直な、真面目な問題意識としてとらえなければならないのは、当然のことだろう。

網野はもちろんのこと、氏家はすでに亡く、渡邉恒雄も一線からはとうに引いている。

後に残った世代は、日本の戦争責任の問題について、政治的な側面から離れて、どれだけ真面目に考えているか。

・・・

・その2

私がネットで遊び始めたとき、政治的な話題で一番の違和感を持ったのは、人権擁護法案反対運動だった。この件については今まで何度も書いてきたので繰り返さないが、改めて一つだけ書くと、陰謀論めくのは承知の上で、これは保守派がネット世論を煽り、そこからリアルの運動に人員を動員する、実験のようなものをしてみたのではないか、と疑っている。

それから10年以上たつわけで、「プロ」サイドもいろいろな面で相当程度進歩しているに相違ないはずだが、ここはどういう人たちがどういう関係でどういうことを語っているのか、整理をしてみる必要があるのではないかと思う。当然、資金の動きもあるはずで、そこまで調べることは不可能に近いが、本当はそこまでやらないといけない。

ネット専属の暇人の所業、というだけではなく、リアルの政治の世界での人脈やカネの動きの結果が、ネットに反映されていることは多分あるような印象を私は持っている。

これで本当にいいのかどうか。私は疑問だ。