ネットでは、フランス革命の話はなぜか「人がたくさん死んだ残酷なイベント」という程度の認識で話が進むことが多く、呆れざるを得ない。

もちろん、断頭台で頭を切り落とされ、あるいは戦争で命を落とした人々は数知れないわけだけれども、人権宣言が出されたのはその過程においてであり、またその後の世界に与えた影響は甚大であって、その影響からは日本もまた無縁でない。

・・・

フランス革命をただ残酷な事件としてしか受け取れないのは、ただ勉強不足というだけでなく、学校の「日本史」「世界史」の区分でしか受け取られてないことにも理由があるのかもしれない。どうしても、日本と遠いヨーロッパとの関係が実感をもって理解しにくくなってしまう。

今の日本国憲法は当然フランス革命の流れを汲むものであって、フランス革命がなければ、今のように所有権と身体の安全が保障され、平等な、基本的人権が確立された社会に、我々は生きていない。

フランス革命の影響という意味では、明治憲法も当然ながらその影響を多分に受けていたことだろう。19世紀に成立した憲法は、どこの国の憲法であっても、大革命から逃れることはできなかった。

したがって、「日本史」「世界史」という、あたかも日本の歴史が他と隔絶されたような区分から受け取られる印象でフランス革命を認識するのはまちがっている。18世紀末に、日本から遠いフランスで発生した革命が、ダイレクトに日本に影響を与えていて、その結果として今の我々があるという認識が広く持たれるべきであって、そうでないから、

フランス革命は、ギロチンでたくさんの人の首がちょん切られたり、王様を死刑にしたり、戦争で人がたくさん死んだ、残酷な血なまぐさい事件にすぎない」

という程度の認識で嘲笑することができる。

・・・

フランス革命に対するフランス人の誇りと矜持は、そのうえで理解できる。実際に血を流したフランス人に対して、大革命の恩恵を蒙ってばかりいる根性なしの日本人にフランス人を嘲笑することができるだろうか。