本音がこれだもん

たとえば、菊池先生のこういうもの言いは非常に面白いのね。
私が問題性を感じた理由: 技術系サラリーマンの交差点

(略)
有り体に言うなら、みなさんがその場で思いつく程度の疑問なら、とっくの昔に議論されていると思っていただいてまず間違いないです。
(略)
もちろん、そういうことをどこにもまとめて書いていないのも事実ですから(膨大なblogを読み解けば、どこかには書かれていますが、それは要求できません)、分からんと言われればそれはそうで、言いたいのはそういうことではありません。
「その程度の議論もせずにニセ科学批判をしている」と思われているという点が情けないわけね。「大人なんだから、この程度のことは考えているのではないか」と想像していただけると、話はもっと簡単なんですよ。
 
ご質問があれば説明はいくらでもしますが、もう少し「相手は大人である」と思ってくれてもいいのではないかと思うわけですね。
Posted by: きくち | 2007.08.23 at 11:48 PM

口調は柔らかいけど、ようするに、おたくらが考えるようなことはとっくに議論済みじゃボケー、と言ってるわけ。


この点は菊池先生に限らなくて、「周回遅れ」と表現した人もいた。


で、これがもうおかしいんだ。



だってそうでしょう。周回遅れでも議論済みでも、その議論を知らない人たちにとって変に見えるなら、どこかが変なんですよ、やっぱり。何が変に見えてるのか、考えなきゃならない。いくら議論したって、やってることがねらーやネトウヨと同じだったら、アホくさい。


そこで議論済みとか周回遅れとかってのは、ちっとも言い訳になってない。「その程度の議論」もしたうえでこの有り様なら、なおのこと問題のはず、でしょ。



上の発言と、いつも引用する、やや感情的なこの発言をつなげてごらん。
「ニセ科学」関連・本当の最終記事: 技術系サラリーマンの交差点

(略)

危機感を共有できないのは結構。しかし、それならなぜ沈黙を守らないのか。

「そんなことは大事ではない」とことさらに言うことが、いったいどのような意味を持つか、考えられるとよいのではないでしょうか。

Posted by: きくち | 2007.09.06 at 01:23 AM

つまり、お前たちの考えるようなことはとっくに議論済みやから、オレたちのやることに口出すなってわけ。


こんな独善的な発想ってない。


ま、ただの切り貼りだから「短絡・曲解」と言われるかもしれないが、菊池先生の本音はすごくよく分かりますわな。



たぶん、この辺は菊池先生が好きそうな議論。
http://anond.hatelabo.jp/20100213133750

そもそも、「疑似科学批判」と「疑似科学信者叩き」が同一視されていることが問題。
疑似科学の間違いを指摘して批判するのには科学リテラシーが必要だけど、
信者を叩くのは、疑似科学批判を引用して「こんなの信じてるなんてバカじゃね」と言うだけなので誰にでもできる。

じゃあ、現実問題としてそんなきれいに二分できてますかというと、決してそんなことはないわけだ。


感染パーティーは対岸の火事ではない - Skepticism is beautiful

apj 2009/05/12 01:11
 何て言うか、もうね、マジで強毒型がやってきてくれれば、ホメオパシーを信じるバカをまとめて駆除できるんじゃないかという大変不謹慎な発想が頭に浮かびましたよ。

旗振り役の1人がこれだもの。これが本音だもの。建前に説得力がないんだよ。



菊池先生が「もっと簡単なはずだ」と言ってるのは、この辺を全部すっ飛ばして、「メタレベルの議論」に辟易して個別論に逃げ込んで「優先順位問題」で突っぱねるから、だから簡単になるんで。


これに「ニセ科学の蔓延は社会病理」論が絡むと、ニセ科学批判が容易にネトウヨ化する。なにせニセ科学は間違っている、ニセ科学批判は正しいんだから。そら煽り手がこのざまなんだもの、その他大勢がどんな立派な意見を言っても意味がないし、行動がネット右翼に似てくるってのも納得なんだよ。

追記
こうしてみると、ドイツのEdgar Wunderが、GWUPの会員の多くは“Unbelief/Dogmatism”であって“Critical Thinking”でないと言ってるのと同じことが、日本でも言えるわけです。
懐疑論者とは何か - 今日の雑談


(再追記
ニセ科学批判に多様性・自由性は存在しない。ブクマ編!! : 社会学玄論

水伝について反証実験すべき派は、ニセ科学批判者として登録抹消されたのでしょうか? 菊池教授に反対する反証実験すべき派について知っている人がおればコメントが欲しいです。

これってようは、懐疑主義におけるウェット派とドライ派の内ゲバでしょ。
ニセ科学批判の内ゲバ - 今日の雑談


ごくごく普通の次元でなら、「豚は飛べません」と言いきってもいいと僕は思ってる。それだけならまだしも、日本にしろ外国にしろ、それを超えちゃってて、単に合理主義的世界観を信じてるだけになっている。それがおかしいと思う


エントリ中に「科学的絶対主義」という言葉が出てくるけど、ニセ科学批判の人はとりあえずそれは否定する。でも、それは建前で本音は違うというのはずっと書いてる通り。


で、厄介なのは、ニセ科学批判の煽り手はこの体たらくだけど、純朴に信じている人がいて、そういう人たちはまともなことを言う上、たぶん恐ろしくいい人たちのはずだから、だから厄介なんだ。普通の人間にはそれがニセ科学批判だと思って誤解する。僕も誤解していた人間のひとりなんだけどね。


ま、はっきりいって素人にはいい煙幕になっとるんだな。この都合のよさはWunderも批判して、GWUPの代表が表と裏で言ってることが違うとかボロクソに書いていて、つまり事情は洋の東西で変わらない。


僕が団体を作れというのもそこで、本音は「科学的絶対主義」なんだから、それを正直に出してやればいいんだ。そうすれば、そこに賛同する人としない人の分裂がもっとはっきりして、「ニセ科学批判」とはなにか、素人目にも本質が見えるようになる。今みたいに、ご立派な建前で釣ってるよりずっとまし。


ついでに書くと「敵味方で分ける二分法」的思考もニセ科学批判は批判するけど、実際のところはこの通り。外国の疑似科学批判も同じことを言ってるわりに、どう見たって敵味方でわけて攻撃してる。まあ、悪いのは日本のそれだけでない。でも、もうご立派な建前はいらないね。たくさんだよ。