これまで

基本的には、ネット右翼サヨク(カタカナの)を眺めてきた。いろんな光景があったし、最初は結構アクティブで無茶もよくやった。その反省もあって、どうして人間ってネットで簡単に○○運動にのっちゃうんだろうと、いつもそういう気分で眺めています。


ニセ科学批判については、当初は好意的に見ていたのです。これでも。むしろ興味津津といった部分もあったし。初めのころだと思うけど、あるブログのコメント欄で最近の大学生の基礎知識のなさは本当にひどいという大学の先生のコメントを読んだ。初めはそういう教育関係の意識を持ってた人もいたはずなんですよね。ここまで実害を強調してたっけと思うし、なにより自分たちは正しい、間違いを間違いと言って何が悪いみたいな開き直りはそんななかったような。。。実際はどうか知りませんよ。たまに面白がって見てただけだから。でも、最初のころ、僕はそう思った。


それがちょっと疑問を感じるようになったのは、3年くらい前かなあ。何が変と言ってうまく言葉にできなかったけれども、とにかく一度ちょっと書いてみたら、結構な批判をもらった。批判を頂戴するのはいいんだけど、言われるほど大したことを書いているつもりがなかったので、正直言って驚いた。なんでそこまで反応するのか、それが分からない。その中で代表的な批判は、お前は相対主義者かというものでした。これはニセ科学批判批判に対する反論の典型ですよね。で、相対主義と言われても、んなことを書いた覚えがないので分からない。


分からないので、しばらく放置プレーを続けましたが、たまにニセ科学批判の人と議論もさしてもらいました。それでもまだ分からない。むしろ、ますますこれは変だと思うようになった。人によって言うことが違うから議論ができんとか、必要以上に攻撃的だとか、長々続く議論にまともに付き合うと碌なことはなさそうだとか、これはそういうときにだいたい分かった。


そうこうするうちに、去年の国籍法の一件が持ち上がった。さすがに頭の悪いネット右翼を批判したり、素朴な人たちに警戒を促したりということをやるのは無駄というかもうしんどいし、あの運動を利用しようとした側が政治的に弱体化しててダメダメなのがすぐわかったのでアホくさくて黙って見てたら(そうでもないか。ちょっと他所で絡んじゃったっけな)、天羽先生のあのエントリが現れた。あのエントリだけでない、先生を擁護する人がいるからまた驚いた。


なんじゃこれはと、このブログでイヤミでも言い続けようと思ってたら、急に、ああ、ニセ科学批判ってネット右翼と同じなんだとようやく分かった。自分には、これが一番理解しやすい考え方ですな。


以前もらったあの「お前は相対主義者か」という批判に対する答えは、誰もそんなことは言っていない、むしろニセ科学批判の側にもずいぶんな面があるんじゃないですか、「まともな学者はまともな相対主義をわきまえてるから心配無用」などと言われるけど、そんなのただの建前で実質が伴ってないじゃありませんか、でよかったんだと思う。いかに実質が伴ってないかはブコメをみてたら一目瞭然だし、よくよく考えたらおかしいのは天羽先生だけでなくて、菊池先生だっておかしいのはおかしいわけで。いかにおかしいかはもう書いた。明らかにまともな相対主義を云々できるような人たちじゃありません。


ネットって不思議で、アルファブロガーまでいかなくても、そこそこの読者がいるブログなら、その作者に対して、尊敬というか仰ぎ見るような視線を持ってる読者が一定数います。それがサークルをつくり、ある種の派閥みたいなものを形成していくようになる。ネット右翼にしろ、サヨクにしろ、それ以外のブログにしろ、そんな光景は当たり前に見られます。


ニセ科学批判も、結局おなじことをやるようになってたんですね、ようするに。ネタが政治じゃなくて科学なだけに、かつ下手に理屈を操る人が多いだけに、見かけの「正しさ」に乗りやすくなってるし、自分は正しい間違いを間違いと言って何が悪いと信じ込みやすい。こうなると尻馬にのりやすくて、派閥なんだから平気で仲間うちは擁護しつつ、外部を攻撃することで結束を維持しよう、アイデンティティを再確認しようとする。歴史修正主義との絡みでサヨクが絡んできたのも、悪かったんでしょう、おそらく。


これだけは書いておきたいけど、ニセ科学批判を担っている多くの人たちは、大学できちんと自然科学の教育を受けたであろう(実際に身についてんのかどうか知らんけど)人々でしょうが、ごく普通の、一般の人がニセ科学批判に投げかけた素朴な疑問(ニセ科学批判は科学教みたいだとか、実際に効果はあったのかなど)に対して、いいとこ自己正当化の理屈を組み立ててただけで、ま、ハッキリ言ってバカにした対応しかしてきませんでしたね。これが一番腹立たしかった。だって、普通の人たちが小難しい本を読んだり、いちいちネットの議論を追っかけてるはずがないんですから。そんなの議論済みとか、これも知らんのかとか、それがまともな学者や学者の卵たちの言うことかと、率直に言ってそう思った。そう言われた方の人たち、見てて気の毒でした。


つまり、「ニセ科学批判派」はもうそこまで落ちちゃってんですよね。知らないうちにね。