ネット○○派 part195 

荻上チキさんのシノドスエッセー。元ネタはあまりにくだらないから略すとして結論部分。
http://synodos.livedoor.biz/archives/1645128.html

流言はしばしば、スケープゴートを叩く行為を正当化し、その快楽を強化するために創り上げられる。多くの流言が、人種差別や性別差別と結びついたり、異邦人やニューメディアといった「叩かれてもいいと思うもの/叩きたいと多くの人が思っているもの」に対して向けられていたりしたことからも分かるように、流言を放置する社会は、特定の対象への暴力を許容・黙認してしまう社会でもある。

全くその通り。


実はニセ科学批判も同じ構造であって、ただ「流言」度が低いというだけの話でしかない。


ニセ科学批判御一行様が「これは叩かれてもいいと判断したもの」を叩いているだけの実態で、他の人たちは「特定の対象への暴力を許容・黙認してしま」っているのだから。恣意的に選択された対象をいくらでも叩くことが容認されてしまっているのが現状で、流言でなけりゃいいという問題じゃないんだ。


もちろん、ニセ科学批判から「人種差別や性別差別」といった深刻な状況にはなってないし、今後もならないとは思うが、たとえばウェブ論座が掲載したスイスのホメオパシー記事の件では、
http://b.hatena.ne.jp/entry/webronza.asahi.com/global/2010121000001.html

kaionji ホメオパシー スイス人って知的なイメージがあったけど、この記事で印象が変わったなあ

みたいな判断を、「ホメオパシー」一本を基準にしてやってる人間も出てくる始末。なによりホメオパシー叩きでは有名な人が、
http://twitter.com/Mochimasa/status/11186973758722048

私が通常医療の拒否を伴わないホメオパシー団体も批判すべきだと考えるのは、ホメオパシーを信じている時点でまともじゃないから。

http://b.hatena.ne.jp/Mochimasa/20101224#bookmark-27600000

(前略)ホメオパシー信じている時点でまともじゃないというのは事実だから仕方ない。地球が平面だと思ってる人がまともかって

と公言している以上、簡単に人間の価値と結び付けているのは一目瞭然だ。特亜はまともじゃないと言ってる人と、何が違うの。


プロレスラーの流言は、ようはネタだからまだまし。でも、ニセ科学批判はこれがネタだとご当人方は思ってない。むしろいいことをやっていると信じている分、より真剣かつ深刻。流言だから悪いって次元の問題じゃないんだ。繰り返しだけど、流言ってのはあくまで結果だ。

・・・

チキさんのエッセーに戻って。

そうした流言が拡散するということは、その流言の持つリアリティを多くの人が欲望してしまったということだ。だからこそ流言の中和は、「事実」のみを求めようとする啓蒙的な行為ではなく、流言を通じて浮かび上がってくる「社会の難題」との苦闘になる。なにせ流言は、その社会が抱える偏見や攻撃心を映しだす鏡のようなものなのだから。

そりゃ単純だ。チキさんが例示した流言を振りまいた人と同様に、ニセ科学批判の人たちだってだいたいただのストレス発散。か、あるいはいいことをやっていると信じることで自己肯定感を得たいから。そういう人がほとんどだと思う。


脱糞プロレスラーというくだらない流言を例示する一方で、ニセ科学批判をこれと同様に扱わない理由は何か。


流言そのものは確かに問題。でも、たとえ流言ではなくても、特定の対象を恣意的に選択して猛烈に叩くネット上の現象は、もっと根が深い問題。ニセ科学批判だけではなくて、他の○○派にも等しく言える現象だと思う。


ミイラ取りがミイラ取りに。ニセ科学批判に同調しているチキさん自身、プロレスラーの流言を振りまくネット民と、実はやってることがたいして変わらない。そのことに今のチキさんにはどれほど自覚があるか。