ネット○○派 part109 メモ

久しぶりにちょっと児童ポルノネタを散歩したら頭痛がしてきた。


だいたいこの手の話って、人権擁護法案ネタもそうなんだが、海外と日本のいろんなギャップが大問題で、日本政府としては諸外国と足並みをそろえてせめて体裁は整えたいのに、みたいな部分とどう折り合いをつけるかが難しかったりする。


で、そうこうしてるとなんもできないので The Economist なんぞにきっちり、
Outraged innocence - Child pornography in Japan

Alone among developed countries, Japan makes no serious attempt to combat child pornography

と書かれてしまっていて、あーあ、と言わざるを得ない。日本人としては、頭抱えるわ。


いわゆる「規制推進派」のトンデモ発言をネタにするのも結構だけれど、「規制反対派」も煽りがきつくて本当に頭痛がする。まともな人がいないとは決して言わないにしろ、これだけ煽りがきつけりゃ、
A+CIIの記事が削除にいたった件【追記あり】 - Togetter
http://twitter.com/nagaroka/status/3996808481083392

続)この件に関して大量のFAXやかなり強行的な態度を取った嫌がらせている人たちがいるみたいです。いくら相手が相手だとえ分別をつけ冷静に。

と言っても、そりゃ無理。調子に乗るアホは消えない。


以下、メモ帳代わり。その筋の人はよくご存知でしょうが、あたしゃよく知らんので。


・・・


Child Pornography の定義にマンガ・アニメの類の扱いは実際のところどうなってんのかつらつら見てみたが、ようは国によって違いすぎる。


おおもとはきっと「児童の売買等に関する児童の権利条約選択議定書」第二条の児童ポルノの定義なんでしょうが、その上で「規制反対派」が口を極めて罵倒している「第3回児童の性的搾取に反対する世界会議」のリオデジャネイロ宣言。「選択議定書」のほうはハンドブックも眺めてみたけど、マンガやアニメはどうなのか、はっきりとは書いてない。
http://www2.ohchr.org/english/law/crc-sale.htm
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/treaty/pdfs/treaty159_13a.pdf


http://www.mofa.go.jp/policy/human/child/congress0811-d.pdf
http://www.unicef-irc.org/publications/pdf/optional_protocol_eng.pdf

推測すると、国によって考え方が違うので、わざと表現に幅を持たせているのかもしれない。リオデジャネイロ宣言の“virtual images”も、いかにも言葉の選択がわざとっぽいし。


ただし、エセル・クエールの報告書では、“Japanese cartoons or animation”として“lolicon or shotacon hentai”の指摘があり、かつ、
http://www.ecpat.net/WorldCongressIII/PDF/Publications/ICT_Law/Thematic_Paper_ICTLAW_ENG.pdf

The criminalisation of “simulated representations or realistic images of a nonexistent child” should not be optional,

という記述もあって、かなり厳格。


しかし、いわゆる「規制反対派」の人たちには、外国にも味方がいる。Wikipedia の “Simulated Child Pornografy”の項目には、こういうことも書かれてる。ソースは一応英文だった。
Simulated child pornography - Wikipedia

1. Virtual child pornography could reduce specific child abuse.

2. Virtual child pornography could decrease the illegal child pornography market.

3. It is a "victimless crime".

デンマークの法律の専門家。
Experts concerned that foreigners feel excluded during the Danish general election – The Post

According to Mchangama, a potential ban could clash with constitutional rights to expression.

‘The drawings are an expression of a sick fantasy, but one can’t or shouldn’t ban fantasies and thoughts. Insulting and offensive thoughts are also covered by freedom of expression. Otherwise we should also ban computer games and films where there’s comprehensive and meaningless violence,’ he said.

英語でちょっとググれば、この種のマンガ好きの外国人の感覚は日本のそれとたいして変わらんのもいるようだし、そういうことなら日本のその手の趣味を持ってる人たちは孤立してない。


となると、キリスト教圏の倫理を日本に押し付けるなとか、そういう孤立主義的かつ差別的な意見をぬけぬけと言うのは、本当にまずい。だいたい、内閣府の調査を見ると、児童ポルノの単純所持規制はもちろんのこと、「絵画やイラスト等」にも、「18歳以上の者が児童の振りをする画像」のいわゆる擬似児童ポルノにも、規制賛成の意見が圧倒してる。世論をすべて法律に反映させるべきなのかどうかは別問題としても、これが現実。
http://www8.cao.go.jp/survey/h14/jido-sakushu/2-3.html


しかも、アメリカのほうが児童ポルノ天国のくせに、と開き直るに至っては最悪と言うほかなく、そういうことは日本が率先して児童ポルノ対策に乗り出してから言えるのであって、体裁すら整ってないのに、そういうことは言うもんじゃない。


ネット○○派の特徴はすぐに外国と日本を対比させて危機感を煽るというのがあって、このネタでは「規制推進団体」もやってるようなんだけれど、まあ、「規制反対派」が同じことをやってちゃいかんわな。


表現の自由の問題と密接に絡んでいて難しい問題なのは、普通に考えたら分かるんだから。煽るんじゃなくて、もうちょっと普通に議論すりゃいいのに。そのほうが、支持者も広がるだろうし。。。という当たり前のことが、ネットになるとできなくなる。