災害対策、学校にエアコンを、いずれももっともだ。

ただ、財源の話が全く出てこない。

・・・

小泉内閣は、今は財政改革・緊縮財政でろくなものじゃなかった、という人が少なくないが、当時の熱狂ぶりは記憶に新しい。9割近い支持率をたたき出したのだから、異常だったとしかいいようがない。

たぶん、みな、その前段を忘れているのではないかと思う。

当時は小渕内閣の積極財政のあとで、小渕恵三が病に倒れたところから、森喜朗が総理になって、これが非常に不評だった。

ただその積極財政の評価が問題で、当時は「日本一の借金王」と小渕自身が自嘲したように、高評価だけではなかった。むしろ、批判的な声もあり、小泉が出てきたときも、私の家族などは「今までがダメだったんだから、違ったことをしないと」などと言って、小泉改革路線を熱狂的に支持していたが、世間の空気もこれと大同小異だった。

ようは、今になって「緊縮脳」などと言われるが、そもそも積極財政路線は一度否定されてしまっていることが、もうすっかり忘れられているように思う。

・・・

かつ、小泉内閣は、あるいは小泉総理の算段はこうだった。つまり、ギリギリまで絞って、国民の方がもう耐えられません、税金を上げてくださいという状況にしよう、ということだった。事実、そういうことを言っていた。

ところが、現実にはどうなったかというと、国民の方から税金を上げてください、という話にはならなかった。ここが小泉の読み間違ったところではないか。

税金は上げてもらっては困るが、エアコンを学校につけろ、災害対策をしろなどなどといつまでも言い続けるのが世論だということに、希代のポピュリストだった小泉が気が付かなかったのか何だったのか、とにかく間違えた。

・・・

政治家を批判するのは簡単だ。内閣の他人事のような態度に腹が立つのももっともだ。私もおかしいと思う。

では具体的にどうしようという段になると、最終的に無責任なのは、政治家を批判しているあなた自身だということに、人々はまだ気が付いていないらしい。

政治家のレベルは、国民のレベルをきれいに反映しているだけではないか。