よく、経済的に余裕があるから政治問題にリソースを割けるのであって、経済的に余裕がないから政治にはリソースが割けられない、政治よりもその日の暮らしが大切なのは当然だ、という意見をよく見る。

それは一面正しくて、一面間違っていると私は常々思っている。

確かに、政治活動はそれが直接何かを生み出すのではないし、どういう立場であれ主義主張を広く周知せしめてそれを実現させようと思うと、まずは軍資金がいる、その軍資金はどこから出てくるのだ、となると、生活にある程度余裕がないと、ということになるのも当然かもしれない。

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ただ、人間の長い歴史を見ると、生活に余裕のある人たちばかりが政治活動に身を投じたわけではない。

むしろ生活が苦しいからこそ、政治活動を行う場合も大いにあったわけで、つまり生活と政治はそれほど単純にはむずびつかない。政治は金持ちの道楽というわけでは決してない。

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たぶん、政治よりもその日の暮らしが大切だからというのは多くの人の言い訳であって、別にリソースがないわけではなく、政治のことを考えなくてもいい程度に生活できているということでしかない、と私は思う。

つまり、政治に意識を特に向けなくても、十分に満足して生きていけているわけで、つまり幸せなのだ。

もっと経済的に苦しくなると、政治を無視するわけにもいかなくなるだろう。

つまり、たいていの人は、それぞれに不満はありながら、私から見ると「中途半端に」恵まれている。