マッテオッティ事件のあと、野党が議会をボイコットするが、その有力者の一人がジョヴァンニ・アメンドラだった。彼は、のちにイタリア共産党の大物になるジョルジョ・アメンドラの父親だ。

このジョルジョ・アメンドラによると、父ジョヴァンニは、マッテオッティ事件が裁判になったときに、法律の次元で問題が一段落してしまうことを危惧して、非常に憂慮したらしい。

本当の問題は法律にはなくて、ファシズムに抵抗するためには、あくまでも倫理的な次元で問題提起を続けようというのがジョヴァンニ・アメンドラの考えだったようだ。

現在の日本の政治状況を思うと、非常に示唆的なエピソードだと思う。

法律違反じゃなかったらセーフ、とばかりは言えない問題というのがいくらでもあるのだ。表面的にとりつくろえば、それでいいというものではない。それでいいなら、人生、随分楽なものだ。